堅調な輸入車販売、総台数では減少続く(台湾)
2018年自動車の生産・販売動向

2019年3月25日

2018年の台湾の自動車生産台数は前年比13.1%減の25万3,241台、販売台数(輸入車を含まず、輸出向けを含む)は12.4%減の25万8,571台となった。これで、4年連続で生産台数、販売台数ともに減少した。

台湾製は引き続き不振、輸入車は堅調

業界団体の台湾区車両工業同業公会によると、2018年の台湾の自動車生産台数は前年比13.1%減の25万3,241台だった。また、販売台数(輸入車を含まず、輸出向けを含む)は12.4%減の25万8,571台となった(図参照)。販売台数のうち、台湾域内の販売(輸出向け、輸入車ともに含まず)は8.3%減の23万4,589台、輸出は39.3%減の2万3,982台と、ともに前年に引き続き減少した。

図:台湾の自動車生産・販売台数の推移
台湾の自動車生産・販売台数(左目盛り)は、2008年182,974台(生産)、186,005台(販売)、2009年226,356台(生産)、239,105台(販売)、2010年303,456台(生産)、289,444台(販売)、2011年343,296台(生産)、340,575台(販売)、2012年339,038台(生産)、340,984台(販売)、2013年338,720台(生産)、341,180台(販売)、2014年379,223台(生産)、377,648台(販売)、2015年351,085台(生産)、345,900台(販売)、2016年309,531台(生産)、313,809台(販売)、2017年291,563台(生産)、295,289台(販売)、2018年253,241台(生産)、258,571台(販売)。 台湾の自動車生産・販売台数伸び率(右目盛り)は、2008年△35.4%(生産)、△34.5%(販売)、2009年23.7%(生産)、28.5%(販売)、2010年34.1%(生産)、21.1%(販売)、2011年13.1%(生産)、17.7%(販売)、2012年△1.2%(生産)、0.1%(販売)、2013年△0.1%(生産)、0.1%(販売)、2014年12.0%(生産)、10.7%(販売)、2015年△7.4%(生産)、△8.4%(販売)、2016年△11.8%(生産)、△9.3%(販売)、2017年△5.8%(生産)、△5.9%(販売)、2018△13.1%(生産)、12.4%(販売)。

注:販売台数は輸入車を含まず、輸出向けを含む。
出所:台湾区車輌工業同業公会

台湾本田汽車のみ販売・生産ともに増加

生産台数をメーカー別にみると、1位はトヨタと日野自動車が出資する国瑞汽車だが、前年比17.7%減の10万1,626台、構成比は40.1%と前年より2.2ポイント低下した(表1参照)。2位は中華汽車(構成比:18.6%)で5.0%減、3位は裕隆汽車製造(16.8%、注1)で22.7%減となった。表1のうち、台湾本田汽車(14.1%)のみが13.1%増と2年連続で増加した。

表1:台湾のメーカー別自動車生産台数 (単位:台、%)(△はマイナス値)
メーカー 2016年
生産台数
2017年
生産台数
2018年
生産台数 構成比 前年比
国瑞汽車 147,995 123,418 101,626 40.1 △ 17.7
中華汽車 49,236 49,646 47,176 18.6 △ 5.0
裕隆汽車製造 57,816 54,875 42,430 16.8 △ 22.7
台湾本田汽車 24,372 31,692 35,830 14.1 13.1
福特六和汽車 17,391 17,719 12,968 5.1 △ 26.8
三陽工業 11,807 13,328 12,336 4.9 △ 7.4
その他 914 885 875 0.3 △ 1.1
合計 309,531 291,563 253,241 100.0 △ 13.1

出所:台湾区車輌工業同業公会資料を基に作成

2018年の販売台数25万8,571台のうち、台湾域内における販売台数は90.7%を占めた。上位3メーカ―の国瑞汽車(構成比:34.0%)、中華汽車(20.6%)、裕隆汽車製造(18.7%)が、軒並み前年比で減少した(表2参照)。一方、台湾本田汽車(15.3%)は13.6%増と伸びた。

表2:台湾域内のメーカー別自動車販売台数(単位:台、%)(△はマイナス値)
メーカー 2016年
販売台数
2017年
販売台数
2018年
販売台数 構成比 前年比
国瑞汽車 101,133 88,715 79,687 34.0 △ 10.2
中華汽車 47,226 49,350 48,369 20.6 △ 2.0
裕隆汽車製造 57,865 54,759 43,954 18.7 △ 19.7
台湾本田汽車 24,356 31,609 35,895 15.3 13.6
福特六和汽車 17,961 17,177 13,398 5.7 △ 22.0
三陽工業 13,005 13,312 12,267 5.2 △ 7.9
その他 800 848 1,019 0.4 20.2
合計 262,346 255,770 234,589 100.0 △ 8.3

出所:台湾区車輌工業同業公会資料を基に作成

輸入車のシェア、台湾域内の総販売台数の45.3%に

自動車市場関連の業界サイト「U-CAR」によると、表2に含まれない輸入車の販売台数は前年比6.3%増の19万7,281台となり、総新車販売台数(輸入車を含む)の45.3%に達した(注2)。輸入車は引き続き堅調な動きを見せているものの、台湾製の自動車販売は依然として不振が続いており、その減少幅が輸入車の伸びを上回っているため、トータルの新車販売台数は前年割れしているのが現状との見方を示している。

輸入車1位(構成比16.9%)のトヨタは前年比2.9%増の3万3,305台、2位(14.8%)のメルセデス・ベンツは4.1%増の2万9,172台、3位(12.0%)のマツダは6.1%増の2万3,724台と増加し、上位3メーカーの順位は前年と変わらなかった。

老朽化輸送車両の淘汰、輸送車両の排出量低減など大気汚染対策を強化

行政院は2019年2月27日、大型トラックを対象に、新車1台当たり40万台湾元(約144万円、1台湾元=約3.6円)の税額を還付する内容を盛り込んだ「貨物税条例」修正草案を審議・通過させた(「経済日報」2019年2月28日付、注3)。今回修正予定の第12条の6は、2017年11月22日に施行された「貨物税条例」で追加されたもので、現行規定は1999年6月30日以前に出荷された大型トラックを廃棄処分して新車に買い替える場合、新車1台当たり5万台湾元(約18万円)の貨物税を減税する、となっている。今後、立法院での審議を経て修正条文が制定される予定だが、原案通りであれば、これまでの1台当たり5万台湾元から40万台湾元へと引き上げられることになる。また、同修正条文は2017年8月18日に遡及(そきゅう)されることとなっており、2022年12月31日まで実施される見込みである。

また、行政院環境保護署によると、大型ディーゼル車に関する補助対象や金額の調整、補助期間の延長(2022年まで)などを盛り込んだ「大型ディーゼル車淘汰(とうた)のための補助弁法」修正草案を発表し、さらに大気汚染の改善に努めることを明らかにしている(注4)。

そのほか、大気汚染などの環境対策としては、2017年12月6日、改正「ナンバープレート使用税法」の公布・施行により、電気自動車(EV)に課されるナンバープレート使用税の免税期限が当初予定の2018年1月5日から2021年12月31日まで延期になったほか、電動バイクが2018年1月1日から2021年12月31日まで、ナンバープレート使用税免除の対象となっている。


注1:
生産台数には、日産との合弁の裕隆日産汽車なども含む。
注2:
U-CARウェブサイト「2018年12月台湾自動車市場販売報告」(2019年1月2日)より。
注3:
今回の修正では、大型トラックを対象とした新車1台当たり40万元の税額還付(第12条の6)以外に、省エネ家電の購入・買い替えを支援するため、1件当たり2,000台湾元(約7,200円)の税額を還付するという内容も盛り込まれた(第11条の1)。
注4:
行政院環境保護署「環境保護署が『大型ディーゼル車淘汰のための補助弁法』修正草案を発表」(2019年3月8日付)より。
執筆者紹介
ジェトロ海外調査部中国北アジア課 アドバイザー
嶋 亜弥子(しま あやこ)
2017年4月より現職。