AJCEPとJVEPAの関税引き下げスケジュール公表−4月1日から段階的に施行−

(ベトナム)

ハノイ事務所

2015年04月17日

ベトナム財政省は3月30日、日ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)、日越経済連携協定(JVEPA)のベトナム側輸入関税引き下げスケジュールを公表した。関税引き下げ期間は2015年4月1日から2019年3月31日まで。2015年4月1日から実施されている。

<AJCEPで全品目の30%、JVEPAで33.8%の輸入関税が撤廃>
ベトナムにおいてAJCEPは2008年12月1日、JVEPAは2009年10月1日から発効しており、日本とベトナムの間では2協定が存在する。ベトナム側輸入関税引き下げスケジュールに関しては、AJCEPが2015年2月14日付財政省通達24/2015/TT−BTC号、JVEPAが同通達25/2015/TT−BTC号に規定されている。両協定の具体的な輸入関税の引き下げは、2015/2016年から2018/2019年の各年の4月1日から3月31日までの4回に分けて実施される。

同省ウェブサイトによると、AJCEPは2015年4月1日までに2,874品目の関税率が撤廃(全品目の30%)、413品目が除外品目となり、最恵国待遇(MFN)税率が適用される。一方、JVEPAは3,234品目(33.8%)が撤廃、354品目が除外品目となる。2015年4月1日に撤廃された品目はプラスチック材料、化学品、機械、工具、コンピュータ、電子製品、部品、繊維材料、皮革、医薬品など(同省ウェブサイト)。

<輸出額に占める両協定の利用率は30%超に>
ベトナム税関総局統計によると、2014年の日本との貿易額は輸出が147億ドル(前年比7.7%増)、輸入が129億ドル(11.2%増)と、輸出入ともに増加傾向にある。また、貿易収支は2011年以降、黒字が続いており、2014年は18億ドル(12%減)の黒字だ。

両協定の原産地証明書(C/O)の発給額は、2014年ベースでAJCEPが37億ドル(前年比7.4%減)、JVEPAが11億4,000万ドル(28.7%増)と、AJCEPでの利用が多い(ベトナム商工省統計)。しかし、AJCEPの発給額が2014年は前年より減少した一方、JVEPAは毎年増加しており、今後も利用増加が見込まれる。また、日本への輸出額に占める利用率はAJCEPが25.2%、JVEPAが7.8%で、両協定を合わせると30%を超えている。

<輸入関税の引き上げもありトラブルに>
今回の輸入関税引き下げでは、トラブルも報告されている。ある日系商社はJVEPAを利用して日本からベトナムに鉄鋼製品を輸入しており、2014年4月1日〜2015年3月31日の関税率は1%だった。しかし、今回の引き下げスケジュールによると、2015年4月1日〜2016年3月31日の関税率は実際には2%に引き上げられていることが判明した。

このような場合、所管している財政省にオフィシャルレターなどを送付し、理由を問い合わせることが可能だ。また、他の製品でも同様のケースが想定されることから、事前に自社が輸入しようとする製品の関税率を確認する必要がある。

関税引き下げスケジュールは財政省ウェブサイトで閲覧できる(ベトナム語)。

(佐藤進)

(ベトナム)

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