道路網に大きな影響、空港や港などの被害は限定的-北部太平洋沿岸地震の影響-

(エクアドル)

ボゴタ発

2016年04月19日

 4月16日午後6時58分(現地時間)ごろ、北部の太平洋沿岸マナビ県で、マグニチュード(M)7.8の地震が発生した。震源の深さは20キロ。少なくとも350人の死者、2,500人以上の負傷者が出ている。北部沿岸部を中心に道路網に大きな影響が出ており、復旧にはしばらく時間がかかるとみられる。

<余震続く、政府は全国に非常事態宣言>

 国立工科大学地球物理研究所によると、416日夕刻の初震後もM6を含む240回以上の余震が続いており、政府は全国に非常事態を宣言した。震源に近いマナビ県、グアヤス県やエスメラルダ県などでは建造物などの倒壊が激しく、行方不明者も多い。今後被害者が増加するとみられている。

 

 運輸・公共事業省によると、この地震の影響で、北部沿岸部と首都キトを結ぶ主要道路をはじめ全国17の幹線道路で地滑りなどがあり、通行止めとなっているほか、マナビ県では8つの幹線道路が閉鎖されており、緊急車両や食料・物資輸送に支障が出ているという。

 

 同省によると、マナビ県にある国内で2番目に大きなマンタ港は、港湾施設自体に被害はなくオペレーションは可能としているが、国内道路網へのアクセスなども考慮し、同港利用予定の貨物船などは全て国内最大のグアヤキル港を利用することにしたという。

 

 国営石油会社ペトロエクアドルの石油関連施設などの被害状況については、アマゾン地域からエスメラルダ市バラオ港への原油輸送パイプラインのトランスエクアドル・パイプライン(SOTE)や精製品の輸送管、および主要港のターミナルに大きな被害報告はなく、石油の海上輸送についても早期に再開される見込みとなっている。国内最大のエスメラルダ製油所は安全確認のため一時停止しているものの、ラ・リベルター製油所やアマゾン地域のシュシュフィンディ製油所、そのほか天然ガスプラントも正常に稼働している。

 

 また民間航空総局(DGAC)によると、マンタ国際空港やエスメラルダ空港は、管制塔や旅客ターミナルに損傷があり一時閉鎖されていたが、滑走路は使用できることが確認され、他空港の管制塔からの指示や目視で運航可能だとして、現在は復旧している。

 

(高多篤史)

(エクアドル)

ビジネス短信 6b4f4c61e386979f