ブラジル、米国による鉄鋼・アルミ輸入関税措置の対象外に

(ブラジル、米国)

サンパウロ発

2018年03月23日

米国による鉄鋼およびアルミニウムへの輸入課税措置で、ブラジルから輸出される製品は対象外となった。鉄鋼および鉄鋼半製品は米国向け主要輸出産品であることから、ブラジル国内では懸念する声が上がっていた。

鉄鋼・同半製品は対米主要輸出産品

米国が3月8日、鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の輸入関税を課すことを決定したことで、ブラジル国内では波紋が広がった。ブラジルにとって米国は中国に次ぐ輸出相手国で、2017年は輸出額全体の12.3%を占めた。鉄鋼および鉄鋼半製品は18億4,400万ドルで、石油、航空機、再輸出品に続く米国向け主要輸出産品だ(表参照)。

表 ブラジルの品目別対米国輸出(2017年)

米国による課税措置が発表された直後、アロイシオ・ヌーネス外相およびマルコス・ジョルジ商工サービス相は、「米国の措置はブラジルの対米輸出に重大な損失を与えるものであり、両国の貿易バランスにも多大な影響を与える」と述べた。米国はブラジルにとって輸入相手国としても2位でもあることを踏まえ、「ブラジルと米国間の貿易は不公平でも、米国が不利益を被るものではない。さらにトランプ米大統領が懸念する米国の安全保障を脅かすものでもない」と主張した。3月14日付「エスタード」紙によれば、ブラジルから米国に輸出される鉄鋼関連製品の80%は鉄鋼半製品で米国内の工業製品向けに供給されている。さらにブラジルは国内製鉄所用の石炭を米国から輸入しており、両国は補完的な関係にあることを主張していた。

米商務長官宛てに対象外とするよう要請

マルコス・ジョルジ商工サービス相は、3月23日から課税されるのを前に、ウィルバー・ロス米商務長官宛てに、ブラジルをカナダやメキシコと同様に、ブラジルを課税対象から除外するよう求める書簡を送付するなどの働き掛けを強めた。また、議会では、米国から輸入されるエタノールの関税引き下げに関する法案可決が延期された。

ブラジル鉄鋼協会のマルコ・ポロ・デ・メロロペス会長は、「課税対象から除外されているメキシコおよびカナダからの対米輸出は最終製品がほとんどであるのに対し、ブラジルは半製品の輸出が多い。課税により米国への鉄鋼半製品の輸出量が減少することで米国工業セクターへ与える影響は大きいだろう」と述べ、米国がブラジルを課税対象国から除外することへの期待感を示していた。

(辻本希世)

(ブラジル、米国)

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