EUメキシコFTA再交渉、投資裁判所制度も盛り込まれる

(EU、メキシコ)

ブリュッセル発

2018年04月26日

欧州委員会は4月21日、メキシコとの自由貿易協定(FTA)の再交渉において大枠合意に達したと発表した(2018年4月24日記事参照)。EUとメキシコは1997年にFTAを含む経済パートナーシップ・政策調整・協力協定(グローバル協定)に署名、2000年に適用開始し、2016年5月から同協定の近代化に向けた交渉を行っていた。

欧州委は、新たな協定により、農産品を含む「実質的に全ての商品」のメキシコ側の関税が撤廃され、医薬品や機械、運輸機器などの通関手続きも簡易化されると強調。投資保護については、EUが提案する二審制かつ常設の投資裁判所制度が盛り込まれた。欧州委は、今回の合意について次の点を強調した。

  • EU産のチーズや脱脂粉乳などの関税割当枠を拡大し、ほぼ全ての豚肉製品の関税を撤廃、チョコレートやパスタに対する関税を撤廃する。加えて、EU産の340種類の食品の地理的表示をメキシコでも保護対象とする。
  • 労働・安全・環境・消費者保護の基準に関する、包括的な「貿易と持続可能な開発」に関する章が盛り込まれた。また、汚職対策に関する条項も盛り込まれた。
  • EUとメキシコ双方の企業が対等な立場で互いの公共調達市場にアクセスできるようにする。
  • 農産品の地理的表示を含む高水準の知的財産権の保護について合意。
  • 金融サービスや運輸、eコマースなど、サービス貿易に関しては、アプリのダウンロードに対する関税賦課など、オンライン取引の不必要な障壁を撤廃し、消費者保護の明確なルールを定める。
  • 投資保護に関して、2国間の投資裁判所制度の設置が盛り込まれ、メキシコも多国間の投資裁判所の設置に向けて取り組むことが定められた。

今後、EUは、メキシコとの大枠合意に残る技術的な課題を解決し、最終的な協定文の作成を2018年中に終えたい意向だ。

(村岡有)

(EU、メキシコ)

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