2017年の実質GDP成長率は5.4%

(パナマ)

メキシコ発

2018年05月09日

2017年のパナマの実質GDP成長率は5.4%となり、前年より0.4ポイント増と堅調な伸びを示した(表参照)。国家統計センサス局(INEC)は、成長の要因を好調なパナマ運河関連および旅客航空サービスと分析している。

表 経済活動別実質GDP成長率の推移

パナマ運河や航空輸送が好調

最も構成比が大きい商業(GDPの17.8%)は前年比3.0%増となった。また、2017年で最も成長したのは運輸・郵便・倉庫で、10.1%増となった。主な要因としては、パナマ運河の拡張による通行料収入の増加が挙げられる。パナマ運河は2016年6月に拡張され、2017年は拡張後に運河が通年で運用された初めての年だった。INECのレポートでパナマ運河の現況をみると、船舶の通過隻数と貨物量が増加したことを受け、通行料収入が17.6%増、通過船舶に提供する業務が9.1%増となっている。

航路別の内訳をみると、パナマ運河における通過隻数が最も多い米国東海岸からアジアへのルートの通航量が39.7%増となり大きく伸びた。また、パナマ運河庁2017年年次レポートによると、運搬品目別では大西洋から太平洋に運搬される液化ガスが約3.6倍の伸びている。同運河が拡張後、米国東海岸からアジアへの液化ガスの輸出へのルートとして活用されたとみられる。

国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)が2018年4月に公表した中南米・カリブ諸国の2018年の実質GDP成長率見通しによると、パナマは5.6%の成長が見込まれ、中米カリブで最も高い予測値となっている。また、パナマ国立銀行も2017年の年次レポートにおいて2018年の経済成長率を5.6%と予測し、特に運輸、商業、建設業が2018年の経済を牽引するとしている。また、長期的な成長の観点からは2017年に国交を樹立した中国の存在を挙げ(2017年12月13日記事参照)、中国企業からの投資がパナマの経済成長を後押しするとみている。

(岩田理)

(パナマ)

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