国交樹立から1年、FTA交渉開始へ

(パナマ、中国)

米州課

2018年06月19日

パナマのアウグスト・アロセメナ貿易産業相は6月12日、中国の鍾山商務部部長と北京で会談し、2国間自由貿易協定(FTA)の交渉を開始すると発表した。第1回交渉会議は7月9~13日にパナマで開催される。2017年6月12日、パナマのフアン・カルロス・バレーラ大統領が台湾との外交断絶と、中国との国交樹立を宣言してから1年の節目での発表となった。

アロセメナ貿易産業相は会見で、「FTAはパナマと中国の双方に利益をもたらし、資本財やサービスの輸出を強化できると信じている。中国は2017年、パナマにとり3位の輸出先で、輸出額は4,200万ドルだったが、FTAが発効すれば貿易額は確実に拡大する」と述べた。なお、輸入では中国は1位であり、2017年のパナマの輸入額は13億4,400万ドルとなっている。

2017年11月のバレーラ大統領の訪中時に、貿易投資の促進を目的とした19件の覚書を交換しており(2017年12月13日記事参照)、パナマの輸出品に対する「衛生植物検疫措置の適用に関する協定」(SPS協定)の締結、パナマにおける中国企業向け経済特区の設立、パナマ運河を活用したロジスティクス面での「一帯一路」計画への寄与、両国の民間銀行の協力なども約束されている。なお、中国はパナマ運河利用国の2位で、コロン・フリーゾーンを経由して米国や南米向けの再輸出品が多い。さらに、2018年4月にはパナマと中国間の直行便が開通するなど、今後も結び付きは強まるとみられている。

(志賀大祐)

(パナマ、中国)

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