中国、9月から香港・マカオ・台湾住民に身分証明証発行

(中国、香港、マカオ、台湾)

香港発

2018年08月22日

中国政府は8月16日、香港・マカオ・台湾住民の中国本土での「居住証明証」(身分証明証に相当、以下、居住証)発給に関する規定「港澳台居民居住証申領発放弁法」(以下、弁法)を制定し、9月1日から施行すると発表した。これにより、香港・マカオ・台湾住民は中国本土の住民としての身分証明証を保有できることとなった。弁法のポイントは以下のとおり。

  1. 半年以上中国本土で居住し、就業中、合法かつ安定した住所を有する、大学などに連続して通学中の3条件のうち、少なくとも1つの条件を満たす香港・マカオ・台湾住民は、中国本土への渡航時に必要な書類などに基づき、居住地の公安機関に居住証を申請後、20営業日で受領可能。
  2. 居住証を保有する香港・マカオ・台湾住民は、中国本土において権利、基本的な公共サービス、その他の円滑化措置を享受することが可能(表参照)。
表 「港澳台居民居住証申領発放弁法」に基づき、「港澳居民居住証」保有者が中国本土で享受できる権利、基本的な公共サービス、円滑化措置リスト

弁法について、香港特別行政区政府(香港政府)トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は同日、「(今回の措置により)香港住民の中国本土における生活面のニーズは全て充足される」と歓迎する談話を発表し、居住証を保有した場合のメリットについて以下の具体例を示した。

  • 中国本土で長期的に就業中の香港住民が子女を帯同する場合、中国本土のいずれの地域でも現地の公立学校で義務教育が受けられること
  • 中国本土住民のみが宿泊可能な一部の宿泊施設にも、宿泊が可能となること

さらに林鄭長官は、「広東省には約52万人の香港人が居住しているほか、中国本土の各地の大学に通学中の香港人大学生は1万5,000人以上となっている。これらの香港住民は(上述した)条件を満たす場合には全て居住証の申請・受領が可能となる」と、幅広い香港住民がメリットを享受できることを強調した。

(注)香港・マカオ住民は、「港澳居民来往内地通行証」(通称は「回郷証」)、台湾住民は「台湾居民来往大陸通行証」(通称は「台胞証」、5年間有効のもの)

(中井邦尚)

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