総選挙で与党が第1党となるも極右政党が伸長

(スウェーデン)

ロンドン発

2018年09月11日

スウェーデンで4年ぶりの総選挙(定数349)が9月9日に実施された。暫定結果では、与党の社会民主労働党が得票率28.4%で第1党の座を維持したが、いずれの政党も得票率30%にも満たず、連合では左派「赤緑ブロック」と右派・中道「アライアンス」がそれぞれ40.6%、40.3%で完全に拮抗(きっこう)した(表参照)。どちらにも属さない極右のスウェーデン民主党が前回2014年選挙時より大きく伸び、17.6%を獲得した。投票率は84.4%で、前回の83.4%よりも1.0ポイント上昇した。

表 各政党の得票率

選挙管理委員会は、スウェーデン国外での投票(約5万人)を合算するため、最終結果は9月12日に発表するとしている。それにより1議席が動く可能性があり、左派連合は144議席、右派・中道連合は143議席獲得とされているが、最終的にどちらが勝利するか分からない状況にある。どちらにも属さないスウェーデン民主党は60議席超の獲得となり、前回選挙の49から大きく議席を増やすことになりそうだ。

スウェーデン民主党の躍進は、昨今の欧州全体に共通する極右の風潮の現れだ。2015年下半期にステファン・ロベーン内閣が10万人以上の難民を受け入れたが、その後、経済的負担や難民収容所の襲撃などの治安悪化、難民の自殺増加など、難民受け入れが社会問題化した。これらに対する国民の不満から、移民に対する制限をうたっているスウェーデン民主党への支持が高まったとみられる。同党は、EU離脱の是非を問う国民投票の実施を約束している。

選挙結果を受けて、各メディアは、ロベーン首相が首相継続を宣言したことに対し、右派・中道連合の各党首が、ロベーン首相の辞任を迫っている、と報じた。

(三瓶恵子)

(スウェーデン)

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