IMF理事会がEFFの追加融資を承認

(モンゴル)

北京発

2018年11月22日

IMF理事会は10月31日に、拡大信用供与措置(EFF、注)の5回目の審査を行った。これは、8月にIMFの評価チームがモンゴルで実施した5回目の評価結果(2018年8月28日記事参照)のレビューに当たる。理事会は、レビューを受けてモンゴルに対し、2,620万8,800SDR(IMFの特別引き出し権、約3,622万ドル)の追加融資を承認した。これにより、EFF枠内での融資額は計1億5,724万5,400SDR(約2億1,733万ドル)となる。

IMFのプレスリリースによると、理事会で議長を務めた古澤満宏IMF副専務理事は、モンゴル経済について以下のように評価した。

IMFの支援により実施しているEFFの枠内で、モンゴルの経済は順調に回復を続けている。好調な商品輸出、同国に対する信用の回復、EFFの着実な実施により、経済成長が加速し、財政・債務が改善している。歳入の急増と歳出の抑制により、財政収支が黒字になった。また、これまで外貨準備高が目標を上回っていたため、最近の国際収支悪化という状況にもかかわらず、外貨準備高の目標達成が可能になった。

金融セクターにおいては、銀行の資産査定(AQR)の結果を受けて、引き続き、必要な措置を取ることが焦点となっている。一部の銀行では、AQRの結果を受けた手続きおよびAQR後の立ち入り検査を実施中で、AQRにおいて指摘された自己資本の不足を2018年12月末までに解消すべく準備している。モンゴル銀行(中央銀行)は引き続き、これら全ての活動で金融セクターの安定確保に注力している。

前述した改善がみられるものの、モンゴルは依然として国内外のリスクに対して脆弱(ぜいじゃく)なままであるため、財政収支の健全化のための取り組みを強化し、銀行部門を補強し、投資環境を改善することが非常に重要だ。モンゴル政府は今後も社会支出を維持し、税務管理を強化し、公的財政管理の改善に注力する必要がある。

モンゴル政府は、今後もIMFの支援を受けながら、経済安定化、財政赤字と債務の削減、外貨準備高の回復などに向けて、「経済回復プログラム」を引き続き実施していく見通しだ。

(注)拡大信用供与措置とは、2017年5月24日にIMF理事会で承認された3年間のプログラム。総額3億1,450万4,000SDR(約4億3,430万ドル)をIMFが融資することに合意した。

(藤井一範)

(モンゴル)

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