アフリカ初の高速鉄道LGV、モロッコで開通式

(モロッコ)

ラバト発

2018年11月20日

アフリカ初の高速鉄道である、モロッコのカサブランカ~ラバト~タンジェ間を結ぶLGV(通称:Al Boraq)の開通式が2018年11月15日、タンジェで行われ、モハメッド6世国王やフランスのマクロン大統領が出席した。アマラ設備・運輸・ロジスティック・水利相は、LGVがモロッコの経済を大きく押し上げ、将来、モロッコはLGVの輸出国になり得るだろうと述べ、所要時間の短縮などの利点を強調した。

LGVは、タンジェ~ケニトラ間を時速320キロ、ケニトラ~カサブランカ間は時速160キロで運行し、カサブランカ~タンジェ間の所要時間は現在の4時間45分から2時間10分に短縮される。6つの新駅が開業し、11月26日から乗車が可能だ。

LGVは2011年9月29日に着工し、総工費は約230億ディルハム(約2,760億円、1ディルハム=約12円)。モロッコ政府は58億ディルハム、ハッサン2世基金は10億ディルハムを拠出している。フランスからの投資額は5割以上を占め、フランス開発庁(AFD)が3億ユーロ超を融資した。アラブ諸国からも、サウジ開発基金(SFD)、アラブ経済開発クウェート基金、アラブ経済社会開発基金(AFESD)、アブダビ開発基金(ADFD)など多くの投資があった。多額の総工費に見合う収益を得るべく、モロッコ国営鉄道(ONCF)は、乗客数を現在の年間300万人から今後3年間で倍増させるとしている。

LGV建設に当たっては、フランス国有鉄道(SNCF)が工事を統括し、フランスのEgisグループ、Systra、アルストム(Alstom)、Colas Railが建設や車両提供を担当した。モロッコからは、最大手の建設会社SGTMがアフリカ内最長の高架橋の1つとなる全長3.5キロのEl Hachef高架橋などと新駅の建設、TGCCがタンジェの鉄道管理のワークショップと新駅建設を担当した。

(本田貴子)

(モロッコ)

ビジネス短信 2cfd850f66fdb9fe