暫定政府が2019年暫定予算案を国会提出

(スウェーデン)

ロンドン発

2018年11月27日

新政権の連立交渉が難航しているスウェーデンで、暫定政府のマグダレーナ・アンデション財務相(社民党)が11月15日、2019年(1~12月)暫定政府予算案を国会に提出した。

11月15日時点で内閣が発足していない場合は、暫定政府が翌年の予算案を提出することになっており、暫定政府予算案に関しては、次の制限がある。(1)政党色の強い方向性は打ち出さないこと、(2)これまでに国会で合意された予算決定方針に基づくこと、(3)政治的論議を引き起こす要素を排除すること、(4)今後成立する新政府が自身の経済政策を形成できる余地を盛り込むこと。

このため、既に決定されていた学校教育やインフラ整備への予算配分の拡大、および社会民主労働党と穏健党との間で合意ができていた年金生活者に対する減税などはそのまま盛り込まれているが、軍事費増強などは見送られている。

上述の(2)の原則に基づき、予算規模は2018年予算を微調整したものとなっており、歳入は前年比0.4%増の1兆975億クローナ、歳出は2.6%増の1兆266億3,400万クローナ。なお、予算案のベースとなる財務省の予測では、2018年の実質GDP成長率を2.6%、2019年は2.1%、2020年は1.4%としている。

国会議長の組閣依頼が相次ぎ不調に

スウェーデンでは9月9日の総選挙(2018年9月11日記事参照)以降、連立交渉が続いている。中道左派の社会民主労働党党首のステファン・ロベーン首相の続投が国会で不信任となった後、国会議長が第1党にとどまった社会民主労働党(得票率28.3%)のロベーン党首にあらためて組閣を依頼したものの不調に。次いで、第2党の中道右派の穏健党(19.8%)のウルフ・クリステルソン党首が議長の依頼を受け、連立交渉に当たったものの、連立案は11月14日に国会で否決され、現在は議長が得票率4位の中央党(8.6%)アニー・レーブ党首に組閣を打診しているところ。議長は4回まで組閣を依頼できることになっており、これも不調となれば再選挙となる。新内閣発足までロベーン暫定内閣が続くことになる。

(三瓶恵子)

(スウェーデン)

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