2019年以降も社会保険料の算出上限を維持

(ポーランド)

ワルシャワ発

2018年11月22日

憲法裁判所は11月14日、社会保険料算出の上限基準撤廃を盛り込んだ修正法案を違憲と判断した。現在、社会保険料を算出する年収上限は、ポーランドの月平均給与の30倍〔2018年は13万3,290ズロチ(約387万円、1ズロチ=約29円)〕に設定されており(注)、年収がこれを上回る場合、上回った金額については社会保険料算出の対象とならない。今回の判決により、2019年以降も現状のまま、社会保険料算出の上限基準が維持されることとなった。

上限基準を撤廃することを盛り込んだ修正法案に対しては、賃金水準の高い高技能労働者を雇う企業や高技能者個人の社会保険料負担が増えるとして上限基準を維持するよう、経済団体などが要請していた(2018年8月15日記事参照)。

ポーランド民間経営者連盟「レビアタン」は11月16日、政府・雇用者・従業員の社会経済関連政策に関する対話の場である「社会対話協議会」メンバーの3雇用者団体と共同で声明を発表。憲法裁判所の判断に安堵(あんど)したとしつつも、同修正法案の審議に当たっては社会対話協議会との協議の時間が限られていたために、関係団体は実質的に立場表明の機会を与えられず、うわべだけの(協議の)過程だったと主張。社会保険制度改革には、その場しのぎではなく、対話を通じて合意を形成する体系的なアプローチが必要だとし、雇用者団体は政府と協議をする用意があるとした。

(注)対象は、年金および生活保護保険。

(深谷薫、ジュリア・ポヤタ)

(ポーランド)

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