ASEAN首脳会議、スマートシティー枠組み文書を採択

(ASEAN、シンガポール)

シンガポール発

2018年11月26日

シンガポールで開催された第33回ASEAN首脳会議で11月13日、ASEANスマートシティーの枠組み文書が採択された。議長国のシンガポールは4月開催の第32回ASEAN首脳会議において、「ASEANスマートシティーネットワーク(ASCN)」の実現を提唱していた。同ネットワークには、シンガポールやベトナムのホーチミン、ハノイ、ダナン、インドネシアのジャカルタ、バニュワンギ、マカッサルなどASEAN域内の26都市が参画している(2018年7月11日記事参照)。

ASCNは、域内の都市それぞれが抱える環境や交通渋滞などの課題を、最新テクノロジーを活用して解決することによって、市民の生活改善と新たなビジネス機会の創出とともに、各都市間でその成功事例などの共有を目指している。今回採択された枠組み文書は、ASCNに参画する都市の開発を円滑化するための、拘束力のないガイドラインとして位置付けられている(注1)。

同文書では、スマートシティープロジェクトを導入するに当たっての優先分野として、(1)観光や行政サービスも含む文化の多様性と社会調和の強化、(2)教育や医療、住宅など市民の生活改善、(3)食料資源の確保や安全、治安の維持、(4)持続可能な環境と災害対策、(5)エネルギーや上下水道、交通などスマートな技術を活用したインフラ開発、(6)最新技術を活用した労働生産性向上と競争力強化、の少なくとも1つを盛り込むべきだとしている。

また、ASEANの持続可能な都市開発に関連して、同日に「ASEANの持続可能な都市化戦略(注2)」も発表された。これは、2016年9月のASEAN首脳会議で採択された「ASEAN連結性マスタープラン2025年」に基づくイニシアチブの1つで、スマートシティー化を含む持続可能な都市化戦略を立案する際の指針となる。

2019年中にもASCN東京ハイレベル会合を開催へ

さらに、安倍晋三首相は翌14日に開催された日ASEAN首脳会議での冒頭、2019年中にもシンガポールと共同でASCN東京ハイレベル会合を開催する予定を明らかにした。安倍首相は、日本が提唱する先端技術を活用した社会「ソサエティー5.0」との連携や、「日ASEANイノベーションネットワーク(AJIN)」などを通じて、ASCNの実現に協力していく姿勢を示した。

(注1)「スマートシティー枠組み文書(ASEAN Smart Cities Framework)」の原文はASEAN2018年のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますからダウンロード可能。

(注2)「ASEANの持続可能な都市化戦略(ASEAN Sustainable Urbanization Strategy)」はASEANのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますからダウンロードできる。

(本田智津絵)

(ASEAN、シンガポール)

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