リー首相、企業経営者に市場統合への貢献と理解を呼び掛け

(シンガポール、ASEAN)

シンガポール発

2018年11月26日

リー・シェンロン首相は11月12日、シンガポールで開催されたASEANビジネス投資サミット(ABIS)での開幕演説で、ASEAN各国政府が市場統合と開放に向けた努力を強化する中、企業の貢献と理解を呼び掛けた。

リー首相は、企業経営者の中には外資への国内市場開放に必ずしも協力的ではない者もいると指摘した上で、「企業はこれまでASEANの統合と市場開放や相互接続の恩恵を受けてきたのだから、ASEAN域内国への市場アクセスの見返りに、自国市場での競争加速をさらに受け入れるべきだ」と訴えた。

写真 ABISで演説するリー・シェンロン首相(ジェトロ撮影)

ABISで演説するリー・シェンロン首相(ジェトロ撮影)

世耕経産相はイノベーション推進のルール作りを訴え

一方、世耕弘成経済産業相は2日目の演説で、乗り物シェアリング大手のシンガポールのグラブやインドネシアのゴジェックなど、(ASEAN域内では)イノベーション創出が進んでいると語り、そうしたスタートアップなどのイノベーション推進のため、「知的財産の保護、データの越境移動の自由、技術移転要求の禁止などルールの整備が必要」と強調した。

さらに、ジェトロの佐藤百合理事もパネル会議で、ASEANへの将来の日本の貢献について、「キーワードは、革新的なコラボレーションだ」と述べた。ジェトロ、ASEAN日本人商工会議所連合会(FJCCIA)など日本の9団体およびASEANの2団体が参画して、「日ASEANイノベーション・ネットワーク(AJIN)」を立ち上げたことを紹介。「日本とASEANの連携を通じたイノベーション創出により社会課題を解決したい」と語った。

ABISはASEAN首脳会議に合わせてASEANビジネス諮問委員会(ASEAN-BAC)が毎年開催しているもので、今回は12~13日に開催され、企業代表者や政府関係者ら約1,000人が出席。このほか、タイのプラユット首相、マレーシアのマハティール首相、ミャンマーのアウンサンスーチー国家顧問が基調演説を行った。

(本田智津絵)

(シンガポール、ASEAN)

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