欧州議会、日EU・EPA締結の勧告案を採択

(EU、日本)

ブリュッセル発

2018年12月13日

欧州議会は12月12日にストラスブールで開催された本会議で、日EU経済連携協定(EPA)締結に関する勧告案を賛成多数で採択した。採決結果は賛成474に対して、反対152(棄権40)だった。

EPA発効は2019年2月1日の見通し

日EU・EPAはEUにとって、これまで交渉した中で最大の2国間通商協定で、EU側の関税低減効果が毎年10億ユーロに達する点を欧州議会は強調している。日EU・EPAをめぐっては、欧州議会の中道左派「社会・民主主義進歩連盟グループ(S&D)」を中心に、ILOの求める中核的労働基準を定めた条約の一部を日本が批准していない点などが課題(2018年11月6日記事参照)として指摘されていたが、今回の採決では賛成多数で承認された。今後、EU理事会での承認を経て、年内にEU側の手続き完了の通告が行われる見通し。日本国内では、これに先立つ12月8日に参議院・本会議において賛成多数で可決(賛成167、反対71)し、国内手続きを完了した。協定上、双方の国内手続き完了の通告が行われた日の翌々月の初日に発効することが定められており、早ければ、同協定は2019年2月1日に発効することになる。

また12月12日に、欧州議会・本会議は日EU戦略的パートナーシップ協定(SPA)(2018年11月22日記事参照)の締結に関するEU理事会決定の勧告案についても審議し、賛成535、反対84(棄権45)で採択した。SPAについては今後EU全加盟国の議会における批准手続きを経て発効することになる。

欧州の産業界を代表するビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)は12月12日、今回の欧州議会による日EU・EPA締結の勧告案採決を歓迎し、「世界に保護主義がまん延する今、EUとしてルールに基づく貿易の重要性を強調できた」との見解を明らかにしている。なお、日EU・EPAをめぐっては、欧州主要産業団体が相次いで欧州議会の採択を求めていた(2018年12月12日記事参照)。

(前田篤穂)

(EU、日本)

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