IMFが政府債務水準の上昇と原油価格下落を懸念

(ナイジェリア)

ラゴス発

2018年12月03日

IMFのアミネ・マティ・アフリカ部ナイジェリア・ミッションチーフは11月8日、ナイジェリアの首都アブジャで開催されたサブサハラ経済概況フォーラムで、ブレトンウッズ金融研究所のデータを引用し、ナイジェリア政府の債務残高は対GDP比20~25%と低い水準だが、歳入額が予算計画に満たなければ歳入の50%以上を債務返済に充てることになり、必要な経費を支出する余裕がなくなる状況だと述べた。

2018年度(1~12月)の国家予算総額9兆1,200億ナイラ(約2兆7,360億円、1ナイラ=約0.3円)のうち、政府の国内外債務の要返済額は3兆5,100億ナイラと、予算総額の38.5%を占めている。10月にはユーロ債を新規に29億ドル起債した。外国債は為替リスクが高いものの国内債より低金利であることから、政府は外国債による資金調達にシフトしている。

10月9日にインドネシア・バリ島で開催されたIMF/世界銀行グループの年次総会で講演したIMFのモーリス・オブスフェルド経済カウンセラーは、2018年6月末時点のナイジェリアの債務は22兆3,000億ナイラに達しており、歳入基盤を多様化しなければ財政危機に直面すると述べた。

原油価格の下落も不安要素だ。ブレント原油は10月31日時点で1バレル当たり75.7ドルだったが、世界的な供給過剰感から11月26日に60.2ドルと、1カ月足らずで20%以上も下落した。

11月に発表された世界銀行の隔年報告書「ナイジェリアの未来に向けた人的資本投資」は、国庫による総選挙費用の支出や歳入不足が財政赤字を拡大させると指摘した。石油セクターは国の輸出額の95%を占める一方でGDPの10%に満たないが、歳入と外国為替市場が石油セクターに依存し過ぎており、原油価格が下落すれば国家財政は持ちこたえられないと指摘している。

(西澤成世)

(ナイジェリア)

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