中国における日本映画の公開本数が過去最多に

(中国)

上海発

2018年12月26日

2018年に多くの日本映画が中国で劇場公開された。12月14日には、スタジオジブリの「となりのトトロ」(中国語名、龍猫)が誕生30周年を迎えるタイミングで、中国大陸で初めて宮崎駿監督作品として正式に上映された。これで、中国における日本映画の年間公開本数は15作品となり、過去最多だった(表参照)。

表 2018年に中国で公開された日本映画のリスト
写真 「龍猫」(となりのトトロ)の上映発表会の様子(ジェトロ撮影)

「龍猫」(となりのトトロ)の上映発表会の様子(ジェトロ撮影)

日中平和友好条約締結40周年に当たる2018年に、さまざまな日中交流事業が開催された。映画においては、両国間で5月に「日中映画共同製作協定」が署名された。これにより、日中合作映画は中国において国産映画と同じ待遇を受け、輸入映画の数量制限を受けなくなる。協定締結前から既に岩井俊二氏、行定勲氏など、日本の監督たちが中国との合作映画に動き出している。

2018年7月に中国アリババグループ傘下の動画配信サイト「優酷(Youku)」とフジテレビが戦略的パートナーシップを締結し、500本以上の日本のテレビドラマが中国でネット配信された。映画では、カンヌ国際映画祭の受賞作品の「小偷家族」(万引き家族)、日中の合作アニメ「肆式青春」(詩季織々)、日中共同映画「解碼遊戯」(サイバー・ミッション)の3作品も次々と配信された。

また9月に、国家広播電影電視総局は新たに3本の日本映画の公開を批准した。「鎌倉物語」(DESTINY 鎌倉ものがたり)、「念念手紀」(君の膵臓をたべたい)、「哥斯拉:怪獣行星」(GODZILLA 星を喰う者)の3本で、前2本は同じ日に公開され、日本映画が同日に2本公開されるのは初めてだった。

2015年に「哆啦A梦:伴我同行」(STAND BY ME ドラえもん)が中国で興行収入5億3,000万元を記録して以降、この3年間で日本映画の買い付けや合作への動きが活発になっている。2016年に輸入された日本映画は11作品(アニメ9本、実写2本)で、このうち「你的名字。」(君の名は。)の興行収入が約5億8,000万元(約92億8,000万円、1元=約16円)と、中国における日本アニメの興行収入記録を更新した。2017年に輸入された日本映画は9作品にとどまったが、日中合作や日本のキャストが出演した映画「妖猫伝」(空海-KU-KAI-美しき王妃の謎)、「追捕」(マンハント)などが公開され、興行的にも成功を収めている。

また中国では、上海国際映画祭の一環として開催される「上海・日本映画週間」のほか、「北京・日本映画週間」「日本電影展」(日本映画展)「2018日本電影秋日賞」(2018秋の日本映画上映会)など、イベントの開催に合わせ、日本の映画が重慶、広州、深セン、北京などの都市で上映された。

(林真彦、李雪菁)

(中国)

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