フードテック分野のスタートアップ、新技術を開発

(イスラエル)

テルアビブ発

2018年12月07日

欧州イノベーション・技術機構(EIT:European Institute of Innovation & Technology)の主催により、11月28日にパリで開催されたEITフードベンチャーサミット(Food Venture Summit)で、イスラエル企業のジェットイート(Jet-Eat)が食品アクセレレーターネットワークプログラム部門で入賞した。

ジェットイート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(Jet-Eat)は、3Dプリンターの食品版である、フードプリンター技術を開発するスタートアップだ。植物由来の成分から、ステーキの筋肉や脂肪などを再現して、代替肉を生産する。

イスラエル・ベンチャーキャピタル・リサーチセンター(IVC)が作成した「Israeli FoodTech Ecosystem - Overview」(2018年9月)によると、イスラエルには311社のフードテック関連企業がある。2012年から2017年にかけての6年間に、224社のスタートアップが開業している(表参照)。

表 フードテック(FoodTech)分野スタートアップの開業数の推移

この背景として、イスラエルでは菜食主義、卵・乳製品も食べないビーガンなど、健康志向を持つ人がいる。また、ユダヤ教徒には食品・飲料に関して「コーシャ(コシェル)」といわれる宗教上の規定がある。このようなこだわりや制約が、フードテックが生まれる要因とみられる。

近年、注目を集めるイスラエル発のスタートアップには、以下のような企業もある。

  • スーパーミート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(SuperMeat):幹細胞を培養して、鶏肉を生産する技術。同社はこの培養肉を「クリーンミート」と呼ぶ。同社は研究開発および欧州での製品供給に関する戦略的パートナーシップを、ドイツの畜産食肉大手PHWと締結。
  • フューチャーミート・テクノロジーズ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(Future Meat Technologies):動物細胞から直接、遺伝子組み換えでない肉を培養する技術の開発。ヘブライ大学(エルサレム)の技術移転機関Yissumを通じたライセンシングを受けている。米国の食肉加工最大手タイソンフーズが手掛けるベンチャーキャピタル、BitsXBites(中国)などから出資を受けている。
  • ハーゴル・フードテック外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(Hargol FoodTech):タンパク質・必須アミノ酸の摂取源として、バッタから「Grasshopper Protein Powder」を生産するスタートアップ。バッタを大量にかつ迅速に飼育し、乾燥させて粉末化し加工する自動システムを構築。ハーゴルはヘブライ語で「バッタ」の意味。コーシャ(ユダヤ教)、ハラル(イスラム教)に対応。

(余田知弘)

(イスラエル)

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