豊田通商、準天頂衛星システム活用の自動運転車の実証実験を開始

(オーストラリア)

シドニー発

2018年12月12日

豊田通商は12月5日、準天頂衛星システム〔Quasi-Zenith Satellite System:QZSS(注)〕を活用した自動運転車の実証実験の開始を発表した(添付資料参照)。7日にはメルボルン市近郊のビクトリア州アルトナノース市の一般道を利用し、実車での実験を関係者に披露した。この事業は、経済産業省の平成30年度「衛星データ統合活用実証事業」の採択案件で、準天頂衛星システムの軌道エリアに含まれるアジア・オセアニア地域が抱える物流面などの課題を、現地企業との協力で解決を目指すとしている。

事業概要については次のとおり。

  • 衛星データの「みちびき」「MADOCA」と、地上データである「高精度3D地図」の自動運転車への活用、走行車両のデータの収集と解析などを行う統合管制システムの検証
  • 高精度衛星測位技術を活用した自動運転車の新たなビジネスモデルの構築

参加団体は、豊田通商グループ、日本総合研究所、慶応義塾大学SFC研究所 大前研究室、三菱電機、ダイナミックマップ基盤、マゼランシステムズジャパン、グローバル測位サービス。

豊田通商は、センチメートル級の衛星測位が可能な「みちびき」を活用した「高精度衛星測位ビジネス」市場の拡大に取り組んでいる。2017年度にはジェトロの「日ASEAN新産業創出実証事業」公募採択案件として、車線単位の「高精度ルートガイダンスシステム」の実用化実証実験をタイのバンコクで実施した。

今回の実証実験の日本側参加団体の多くは、2018年2月にシドニーとメルボルンで、ジェトロ、経済産業省、AUSTRADE(オーストラリア貿易投資促進庁)、日本総領事館、州政府、日豪経済委員会などの共催による、QZSSの産業利活用促進のためのワークショップに参画しており、オーストラリアでのさらなる活用の機会を検討していた(2018年3月5日記事参照)。

(注)準天頂衛星システム(Quasi-Zenith Satellite System:QZSS)は「日本版の衛星測位システム」と呼ばれる、衛星からの電波を使って現在置を測定する仕組み。主にアジア・大洋州地域での利用が可能だ。

写真 実証実験に使用した車(豊田通商提供)

実証実験に使用した車(豊田通商提供)

(中里浩之)

(オーストラリア)

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