欧州産業界、欧州議会の「日EU・EPA」承認を要望

(EU、日本)

ブリュッセル発

2018年12月12日

欧州議会本会議(ストラスブール)における日EU経済連携協定(EPA)の審議・採択を翌日に控えた12月11日、欧州産業界からEPAの承認を求める声が相次いだ。農産品・食品系の主要3団体は「環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)が間もなく発効することなどもあり、欧州食品産業にとって重要性を帯びるアジア大洋州地域において、日EU・EPAが欧州企業の競争力を高める」との声明を出した。

幅広い欧州産業界が期待感示す

欧州最大の農業協同組合・農業生産者団体であるCOPA-COGECA、欧州農産品貿易連絡委員会(CELCAA)、およびフード・ドリンク・ヨーロッパの欧州農産・食品・飲料産業を代表する3団体は、欧州議員に対して欧州議会・本会議で賛成票を投じるよう求め、今回の議会承認が2019年2月1日の日EU・EPAの発効を確実なものにするとの見通しを示した。

また、情報通信技術関連の産業団体であるデジタルヨーロッパも「遅滞なく、追加修正をかけることなく、日EU・EPAを承認することを欧州議会に求める」との声明を出した。また、デジタルヨーロッパは「データ保護や越境データ移転に関する協力関係構築」の重要性(2017年12月11日記事参照)や研究開発協力の必要性についても言及し、期待感を示した。

このほか、欧州のサービス産業を代表する欧州サービス・フォーラム(ESF)は12月11日付の声明で、「日EU・EPAは欧州の保険、郵便、配送サービス事業者の(日本における)市場アクセスを改善し、サービス提供企業が日本の政府調達に参画する機会をもたらす」との見方を示し、欧州議会の日EU・EPA承認を求めた。

なお、ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)や日本経団連、在日欧州系商工会議所の連合体の欧州ビジネス協会(EBC)など、日本とEUをつなぐ主要経済・産業団体も12月10日付で、EU側の迅速な承認手続きを求める声明を発表している。

欧州議会は12月12日の本会議での採決事項として、「欧州企業の対日輸出促進につながる日EU・EPA」「セキュリティー、環境対策など共通課題への対応での協力関係を可能にする日EU戦略的パートナーシップ協定(SPA)」(2018年11月22日記事参照)と紹介している。

(前田篤穂)

(EU、日本)

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