2018年度のGDP成長率、暫定推計値で7.2%に回復

(インド)

ニューデリー発

2019年01月16日

中央統計局(CSO)は1月7日、2018年度(2018年4月~2019年3月)の実質GDP成長率(2011年基準)の暫定推計値を7.2%と発表した。インド経済は2015年度に8.0%成長を達成して以降、2016年11月の高額紙幣廃止、2017年7月の物品・サービス税(GST)導入などの経済改革の影響などがあり、2016年度は7.1%、2017年度は6.7%と減速していたが、再び7%台の成長を回復した。

2018年度の実質GDP成長率を需要項目別にみると、総固定資本形成は前年度の7.6%から12.2%に伸長し、投資が回復していることを印象付けた(表1参照)。

表1 2018年度の需要項目別成長率(2011年基準、暫定推計値)

他方、2018年度の産業部門別の粗付加価値(GVA)成長率をみると、製造が2017年度の5.7%から8.3%に、建設は5.7%から8.9%に加速した(表2参照)。一方、鉱業・採掘は2.9%から0.8%に低下し、サービス関連も一部で前年度の成長率を下回った。

表2 2018年度の産業部門別成長率(2011年基準、暫定推計値)

プライスウォーターハウスクーパース(PwC)インディアのラネン・バナジー・パートナーは「今回の推計は保守的な見方との印象だ。最終的なGDPの数値は、(1)原油価格およびそれに影響されるインフレの動向、(2)総選挙前の政府支出の状況、(3)米中貿易摩擦を踏まえた米中間の交渉の行方、という3つの要素に左右されるだろう」としている(「ザ・ヒンドゥー」紙1月7日)。

他方、世界銀行は1月9日、インドの2018年度のGDP成長率を7.3%とする推計を発表した。インドの経済成長は引き続き健全だ、とした上で、2019年度は2018年度を上回る7.5%と予測している。

(古屋礼子)

(インド)

ビジネス短信 0b4c1bc1f1555c76