西バルカン支援など、2018年下期のEU議長国として総括

(オーストリア、EU)

欧州ロシアCIS課

2019年01月08日

オーストリア首相府は2018年12月21日、2018年下期(7~12月)のEU理事会(閣僚理事会)の議長国としての任期を終了するに当たり、総括を発表した。

オーストリアにとって1998年、2006年に続く3度目となった議長国としてのモットーは「守る欧州(A Europe that protects)」で、安全保障と不法移民対策、繁栄と競争力の維持、欧州近隣地域の安定の3点に重点を置いた(2018年6月27日記事参照)。

1点目のEUの移民政策については、EU加盟国への移民の義務的な受け入れ割り当てではなく、EU国境の警備強化や出身国への送還、密航業者への対応が柱であることを欧州理事会(EU首脳会議)で確認し、2018年のEUへの不法移民の到着数は2015年比で95%減少した、と強調した。

2点目の欧州市場の競争力維持については、ウェブサイトのeuドメインの登録・管理制度の改善、イノベーションやスタートアップ支援に向けた公的セクター情報の整備、EU域外からの投資に対するスクリーニング規則案への暫定合意、付加価値税逃れへの対策強化などを成果として挙げた。

欧州近隣地域の安定については、オーストリアが歴史的に深い関係を持つ西バルカン諸国に対する支援に注力し、セバスティアン・クルツ首相が議長国期間中、EU加盟を目指す西バルカン諸国のうちマケドニア、モンテネグロ、セルビア、コソボを訪問した。具体的な成果として、EUとの加盟交渉を既に開始しているセルビアとモンテネグロがEUと新たな政策分野(章)の交渉を開始したことを挙げた(EU加盟交渉では全35章での交渉妥結が必要)。

オーストリアがEU理事会議長国を務めた期間中、2,722に上る各種会合が開催された。首相府によると、その多くがオーストリア国内で開催されたことなどにより、オーストリアのGDPに対して1億3,500万ユーロ相当の貢献があり、2,305の雇用を創出したという。

(鷲澤純)

(オーストリア、EU)

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