グジャラート州で注目が集まる内陸コンテナデポ

(インド)

アーメダバード発

2019年01月07日

インド西部グジャラート(GJ)州では、スズキやホンダの工場設立と生産拡大に伴う自動車部品メーカーの進出が近年増加している。2018年10月時点のGJ州進出日系企業数は38社で、両社進出前の2015年から11社増加した(在インド日本大使館、ジェトロ調査結果、2018年12月26日記事参照)。これに伴い、輸送基地としての内陸コンテナデポ(ICD)に対する日系企業の関心も高まっている。ジェトロは11月22日、10社以上の日系企業が入居するサナンドII工業団地と、9月に分譲を開始したサナンドIII(コーラジ)工業団地(2018年9月11日記事参照)に近接する2つの主要なICDに、貨物取り扱いの現状や今後の展望についてヒアリングした。

コンチネンタル・ウェアハウジング・コーポレーション(ナバシャバ)・リミテッド(CWCNSL)は、サナンドII工業団地から州道17号をビランガム方面に約20キロ進んだところにあるICD、プライベート・フレート・ターミナルを運営する。同社はインド有数の物流会社エヌ・ディ・アールグループの傘下にあり、バラナシ、ムンバイ、チェンナイなどでICDやコンテナ・フレート・ステーション(CFS)サービスを展開してきた。アーメダバードでは2016年に事業を開始し、約102エーカーの敷地内で貨物輸送、倉庫などの物流サービスを提供する。月間取扱量は約2,000TEU(20フィートコンテナ換算)、GJ州にあるムンドラ港(同社から約322キロ)やピパバブ港(約348キロ)に加え、マハーラーシュトラ州のジャワハルラール・ネルー港(約626キロ)への輸送も取り扱う。ICD内には2本のコンテナ線路があり、最寄りのジェイクワダ駅に接続される。同社のラム・キンカール取締役は「主要な顧客は自動車関連メーカーで、自動車用鋼材の保管場所として倉庫を利用する企業が多く、今後も需要が見込まれる」と期待する。

写真 自動車用鋼材などを保管している倉庫(CWCNSL)(ジェトロ撮影)

自動車用鋼材などを保管している倉庫(CWCNSL)(ジェトロ撮影)

写真 ICD内のクレーンを用いてコンテナの積み替えが可能(CWCNSL)(ジェトロ撮影)

ICD内のクレーンを用いてコンテナの積み替えが可能(CWCNSL)(ジェトロ撮影)

タール・ドライポートは、アーメダバード市内から約20キロ西にあるハスティ・ペトロケミカル&シッピング・リミテッド(HPCSL)が運営するICDだ。同社は2009年に事業を開始し、約50エーカーの敷地内でICDサービスや物流、倉庫、通関手続きなどを行う。月間取扱量は約1万2,000TEUで、GJ州にあるムンドラ港(同社から約330キロ)やピパバブ港(約290キロ)まで輸送する。冷凍・冷蔵貨物輸送用のコンテナも取り扱う。ICD内には3本のコンテナ線路があり、最寄りのサナンド駅に接続する。通関手続きなどを行うためのレンタルオフィスも提供しており、日系物流会社も入居している。同社のサウラブ・ジョタンギヤ専務は「日系自動車関連メーカーや地場大手企業にも利用してもらっている。引き続き質の高いサービスを提供したい」と意気込んでいる。

写真 トラックから手際よく積み降ろしされるコンテナ(HPCSL)(ジェトロ撮影)

トラックから手際よく積み降ろしされるコンテナ(HPCSL)(ジェトロ撮影)

写真 鉄道がHPCSLのICDと主要港を行き来する(HPCSL)(ジェトロ撮影)

鉄道がHPCSLのICDと主要港を行き来する(HPCSL)(ジェトロ撮影)

(丸崎健仁)

(インド)

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