マハーラーシュトラ州がスタートアップ企業数最多

(インド)

ムンバイ発

2019年01月18日

インド商工省産業政策促進局(DIPP)は2018年12月、「州別スタートアップランキング2018年版(States’Startup Ranking 2018PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))」を発表した。それによると、DIPPが認定する州別スタートアップ企業数は、西部マハーラーシュトラ(MH)州がインド国内最多の2,587社で、これに南部カルナータカ州(1,973社)、北部デリー準州(1,833社)が続いた(表参照)。一方、スタートアップに関する州政府の政策やその実行度、周辺環境などを評価したランキングでは、西部グジャラート州が首位となり、カルナータカ州や南部ケララ州、東部オディシャ州、北部ラジャスタン州などが続いた。

表 州別スタートアップ数

インドのスタートアップを管轄する業界団体であるインド全国ソフトウエア・サービス企業協会(NASSCOM)などが発表する資料によると、一般的にはインドのスタートアップの集積地としては、カルナータカ州の州都ベンガルールが有名だ。ベンガルールは、スタートアップのエコシステムが整っており、エンジニア人材に対する評価も高い。スタートアップ企業数では、MH州が最多だと発表されたが、パフォーマンスランキングでは、MH州は「新興段階(評価スコアが上位50%以上70%未満)」にランク付けされており、エコシステムの拡充に加え、各種政策や支援の実行段階にある。MH州でのスタートアップを育む一層の環境整備が必要といえる。

MH州の優位性としては、商都ムンバイを擁し、インド財閥系企業の本拠地も多く、ビジネス環境が整っていること、さらにインド準備銀行(中央銀行)や証券取引委員会、大手金融機関といった主要金融機能が集中しており、資金調達の場としても優れていることなどが挙げられる。例えば、インド財務省の1月4日の発表によると、指定商業銀行の2017年度の中小零細企業(MSME)への融資では、州別でMH州がトップとなっており、2位のタミル・ナドゥ州に2倍近い差をつけている。スタートアップにとっては、資金調達と並んで、株式公開(IPO)やM&Aといった「出口戦略(Exit)」も重要となるため、インドの金融の中心地であるムンバイは、インドでのスタートアップビジネスを検討するプレーヤーにとって重要な選択肢の1つになると考えられる。

(比佐建二郎)

(インド)

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