2019年1月から最低賃金を9.47%引き上げ

(ルーマニア)

ブカレスト発

2019年01月15日

ルーマニアの最低賃金が2019年1月1日に、月額(グロス)1,900レイから9.47%増の2,080レイ(約5万6,160円、レイは通貨単位レウの複数形、1レウ=約27円)引き上げられた。労働・社会公正省が2018年12月10日に官報で公示した最低賃金に関する法令2018/937号によるもの。また、大学などの高等教育を必要とする職務の場合、高等教育を受け、なおかつその高等教育の専門分野で1年以上の労働経験を有する者に対しては、最低賃金は23.68%増の2,350レイ(賞与を除く)まで引き上げられた。

政府は当初、高等教育を受けているかにかかわらず、勤務年数15年以上の労働者の賃金を2,350レイまで引き上げることを提案していたが、労働組合(特に繊維産業組合)は支払い給与の増額による倒産の増加が見込まれる、と強く批判していた。

当法令に違反した事業者には、労働者1人当たり300~2,000レイの罰金が科せられる。

また、2018年12月29日付け官報で公表された緊急法令2018/114号によると、建設業のフルタイム労働者の月額最低賃金(グロス)は、3,000レイ(賞与を除く)まで引き上げられる。また、同法令により、2019年1月1日から2028年12月31日までの間、建設分野において一定の条件を満たした労働者の給与にかかる個人所得税が免徐される。建設業は、政府が今後、大規模プロジェクトを実施し、民間からの投資を実現するために最優遇している業種の1つだ。具体的には、建設業としての収入が、個人の収入全体(年初から免除適用月までの累計額)の80%以上を占める労働者が対象で、グロス給与および報酬(個人の労働契約によるものも含む)の総額が月額3,000~3万レイとなる場合に、免除対象となる。

ルーマニア投資家組合の調査によると、2017年時点で労働者の36.9%が月額最低賃金の1,900レイを受け取っていたという。国家予測委員会(CNP)は「最低賃金引き上げは労働市場に好影響を与え、若年層の失業率低下、世帯収入などの増加にもつながる」と期待している。一方、進出日系企業からは「頻繁な最低賃金引き上げと失業率低下が、人材確保に重大な影響を与えており、好ましい改定ではない」との声も多く聞かれる。

(ミンドル・ユニアナ)

(ルーマニア)

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