ASEAN諸国との通関手続きの円滑化が加速

(フィリピン)

マニラ発

2019年01月17日

フィリピン財務省は1月9日、通関手続き書類を電子化するために、税関と各省庁をつなぐプラットフォーム「トレードネット」が、ASEAN諸国間の通関手続きの迅速化を目的としたASEANシングルウインドー(ASW)システムを通じて、他のASEAN諸国とつなぐ相互接続を2018年12月に完了したと発表した。税関によって選定された輸出事業者が、2018年9月からトレードネットを利用し、原産地証明書の電子版のASEAN各国への送付を試験的に開始していた。

フィリピン財務省のジル・ベルトラン次官は「相互接続により、貿易データの整合性が高まり、貿易円滑化につながるとともに、税関職員の徴税能力が改善される」と述べた。また、同次官は「トレードネットが全面稼働すれば、コメ、砂糖、中古車、化学品(トルエン)、冷凍肉、医薬品、乾燥タバコといった商品の輸出入許可のオンライン申請が可能となる」とした。ドゥテルテ政権は、貿易関連の規制を有する76の政府機関全てがトレードネットを使用することにより、まずは7,400の商品の輸出入手続きを簡素化することを目指す。

現在、ASEAN諸国でASWシステムを利用しているのは、インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイ、ベトナムの5カ国で、ASEAN物品貿易協定(ATIGA)の原産地証明書の電子版の交換が当該5カ国間で既に始まっている。フィリピンでも、2019年中のASWシステムの導入を見据え、税関、植物産業局(BPI)、畜産局(BAI)、食品薬事管理局(FDA)の4機関において、ASWシステムを利用した通関資料の交換に向けた調整が開始されている。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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