2019年のGDP成長率予測を1.5%に下方修正

(スイス)

ジュネーブ発

2019年01月07日

経済省経済事務局(SECO)は2018年12月18日の発表で、スイスの2018年の実質GDP成長率予測を2.6%に、2019年を1.5%にそれぞれ下方修正した(表参照)。輸出と国内設備投資に牽引された2018年前半の好調な経済成長からの減速が明確になった。

表 SECO経済予測(2018年12月18日発表)

2017年から2018年前半にかけて、輸送機器およびITへの設備投資や輸出の好調により、スイス経済は拡大基調だったが(2018年9月18日記事参照)、民間消費支出の伸び悩み、欧州をはじめとした世界経済の減速に伴う、輸出の低下を受け、今回の成長率予測引き下げとなった。

今回、経済的リスクとして、米国が主要国との間で起こしている通商紛争や英国のEU離脱(ブレグジット)の影響などに加えて、スイスとEUとの間の通商交渉に伴う不確定性(2018年12月21日記事参照)が明記された。一方で、対外的には貿易の大幅な寄与が見込めない中、2019年にかけては国内消費および賃金、国内投資は堅調な回復が見込まれ、2020年は比較的緩やかに回復(1.7%)すると予測している。

スイス国立銀行(SNB、中央銀行)は2018年12月13日、政策金利(3カ月物ロンドン銀行間取引金利:LIBOR)の誘導目標レンジをマイナス1.25~マイナス0.25%に、預金金利をマイナス0.75%に据え置くと発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。2015年から継続しているマイナス金利政策を維持することとなる。通貨スイス・フランのレートは対ドルで下落した以外は、概して高止まりしており、SNBは引き続き緩和的な金融政策を採用するとともに、機動的な為替介入も辞さないことで、スイス経済や物価安定を支援するとした。

(和田恭)

(スイス)

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