USTR、リスト3の対中追加関税引き上げの場合は適用除外制度を設ける意向

(米国、中国)

ニューヨーク発

2019年01月18日

ロバート・ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は、ティム・ケイン上院議員(民主党、バージニア州)に宛てた1月11日付の書簡の中で、中国に対するリスト3〔対中輸入額2,000億ドル相当の5,745品目(米国関税率表の上位8桁、一部品目は部分的に対象)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)〕の追加関税率(現行10%)を25%に引き上げる場合には、品目別適用除外制度を設ける考えを示した(通商専門誌「インサイドUSトレード」1月15日)(注)。

当初、1月1日に予定されていたリスト3の関税率引き上げは、2018年12月1日の米中首脳会談において2019年3月2日まで延期された。しかしトランプ政権は、同日までに両国間協議で合意が得られなければ、関税率引き上げを実施するとしており(2018年12月20日記事参照)、今回のライトハイザー代表の書簡は、この関税率引き上げが行われた場合に、政権として適用除外制度を設ける考えを示したものとなっている。

なお、USTRは2019年1月7~9日に中国政府と北京で協議を行っており、トランプ大統領は1月8日に「中国との協議はとても順調に進んでいる」とツイートしている。ただし、1月11日にライトハイザー代表と面談したチャック・グラスリー上院財政委員長(共和党、アイオワ州)は、ライトハイザー代表が中国の米国産大豆の輸入を評価する一方、知的財産権の侵害などの構造的問題については協議が進んでいないとの見方を示したことを明らかにした(ロイター1月15日)。中国政府の発表によれば、次回は1月30~31日に中国の劉鶴副首相がワシントンを訪問し、ライトハイザー代表やスティーブ・ムニューシン財務長官と協議を行う予定になっている(「インサイドUSトレード」1月17日)。

(注)USTRは、1974年通商法301条(以下、301条)に基づいて賦課している対中追加関税について、2018年7月6日に発動したリスト1(対中輸入額340億ドル相当のHTSコード上位8桁ベース818品目PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))と、同年8月23日発動のリスト2(対中輸入額160億ドル相当の279品目PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))に関しては品目別の適用除外制度を設けているが、リスト3については設けていない(2018年9月25日記事参照)。リスト1の品目別適用除外制度の概要については2018年7月12日記事を、リスト2の制度概要については2018年9月19日記事を参照。なお、USTRは2018年12月28日、リスト1の適用除外結果の第1弾を発表している(2019年1月4日記事参照)。

(鈴木敦)

(米国、中国)

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