チェコ産業界、日本との経済協力や対日輸出の拡大に期待

(チェコ)

プラハ発

2019年02月08日

日EU経済連携協定(EPA)の発効(2月1日)に関して、チェコの産業界はチェコ・日本間の経済協力分野の拡大、および対日輸出拡大の可能性に期待を寄せている。

「チェコ経済新聞」(2月4日)は、日本がグリーンフィールド投資など累計でドイツに次ぐ第2の対チェコ投資国である点を強調し、「日EU・EPAは差し迫った保護主義の中で前向きなメッセージ」とするチェコ商工会議所スポークスパーソン、ミロスラフ・ディロ氏の歓迎のコメントを紹介している。将来的にチェコ・日本間の経済協力が期待できる分野として、外務省スポークスパーソンのミハル・ブハーチェク氏は「エネルギー、IT、医療関連、新テクノロジー」を挙げる。

また、チェコ産業貿易省のブラジミール・バルトル副大臣は「日本のITサービス市場、鉄道・エネルギー部門の公共事業入札にチェコ企業が進出する可能性が高まる」とする(「チェコ経済新聞」2018年12月12日)。同副大臣は対日輸出に関して、「重要なことは、乳製品、肉製品、砂糖菓子、チョコレート、ワインなどの対日輸出が自由化されることだ」と述べている。

国内最大の企業団体であるチェコ産業連盟は、輸出拡大が期待される部門として、繊維、ガラス、化学産業を挙げ、食品では、副大臣が挙げた品目に加えて、ビールなどアルコール飲料の輸出も日EU・EPAの恩恵を受ける可能性がある、と指摘している(プレスリリース2018年12月12日)。ビールでは、アサヒが買収したピルゼン・プラズドロイが「日EU・EPAにより、これまで『発泡酒』に分類されていた欧州産ビールが、日本製と同じ『ビール』として扱われるようになる」点を評価している(「チェコ経済新聞」2月4日)。

チェコの中核産業である自動車部門に関して、チェコ産業連盟は、EU側で最高7年間の移行期間が設けられていることから、EU市場は十分保護されている、とコメントしている(プレスリリース2018年12月12日)。リベレツ工科大学が調査し、2018年9月に公表した「日EU・EPAのチェコ経済への影響に関する報告書」でも、EUへの日本の完成車・部品の輸入増大に伴う、チェコ国内の自動車部門生産減少率は、日EU・EPA発効直後で0.0006%、移行期間後では0.47%と限定的だ、と予測されている。

(中川圭子)

(チェコ)

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