イタリアでは農業・食品産業関係者を中心に好感視

(イタリア)

ミラノ発

2019年02月08日

日EU経済連携協定(EPA)の発効(2月1日)に対し、イタリアでは農業・食品産業関連関係者を中心に好感的な見方が強い。食品関連の業界団体フェデラリメンターレのイバノ・バンコディオ会長は、GDP世界3位の日本市場へのイタリア食品産業の輸出機会が拡大すること、200以上の地理的表示(GI)が保護されることを評価した。また、乳業関連の業界団体アッソラッテは、日EU・EPAは過去にEUが締結した通商協定の中で最も重要なもので、両地域間の貿易を完全に変革するものだと表明した(「イルソーレ24」紙1月31日)。

各地方の産業団体や関係者からも、歓迎のコメントが聞かれた。1月25日には、食品製造業や機械産業の集積地であるエミリア・ロマーニャ州の州都ボローニャ市で日伊関係者による日EU・EPAに関するセミナーが開催され、エミリア・ロマーニャ州知事代理として州政府の閣僚が登壇したほか、上院議員、地方銀行役員などが講演し、一様に日EU・EPAを好感視するコメントが表明された。

北部ベネト州ベローナの農業団体のパオロ・フェッラレーゼ会長も、日本市場への輸出機会の拡大を歓迎し「キロメートル・ゼロ」など地産地消を促進する活動の価値と、こうした遠隔地同士の輸出を促進する協定の価値は両立し得るとの見解を示した(「ベローナセッテジョルニ」紙2月1日)。

農業・食品産業関係者からの声に比べて、工業関係者のコメントは限定的だが、イタリア産業総連盟のリチア・マッティオーリ国際化担当副会長は、日本の公共調達における開放が進展することなどへの期待を表明している。ただし一方で、イタリア経済は輸出のみで成り立つわけではなく、国内投資の回復、海外投資家からの信頼の向上が必要だとして、回復傾向が鈍化しつつある国内経済への危機感をにじませるコメントを表明した(「イルノルデストクオティディアーノ」紙2月1日)。

また、全般的に強い賛意が目立つ中で、食品関連業界では、農業団体コルディレッティなどから、GIの保護対象となっていないものについては、地域産品ではない商品がその地域名を語ることに、正当性を与えることになることを懸念する声も上がっている(「イルソーレ24」紙1月31日)。

(山内正史)

(イタリア)

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