日EU・EPA発効記念セミナー、当局が特恵関税利用のための輸出入の運用を説明

(EU、日本)

欧州ロシアCIS課

2019年02月08日

ジェトロが2月5日に東京で開催した日EU経済連携協定(EPA)発効記念セミナーで、日本・EU双方の輸入時の運用として、日本側の運用について東京税関から、EU側の運用について欧州委員会から、それぞれ最新情報を提供した(2019年2月8日記事参照)。

EUからの輸入時のEPA利用には、税関が指定する書式を利用

東京税関業務部・原産地調査官の川畑高志氏は、日EU・EPAの特徴として、EUをいわば1つの領域(国)と見なす点、EU加盟国の領土であっても特恵税率の適用対象とならない一部地域がある点などを紹介した。

「EUから日本への輸入時」に同EPAの適用を受ける手続きとして、輸出者・生産者が作成する原産地に関する申告(原産品申告書)は協定付属書三-Dの書式に従う必要があるが、EUから輸入する際、輸出者参照番号にはEUの登録輸出者(REX)番号が記載され、「原産地」欄には「EU」と記載すべきとした。また、輸入者の知識に基づく場合には、税関が指定する任意様式PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の利用を推奨することに加え、いずれの申請方法であっても、輸入者又は代理人である通関業者が作成する原産品申告明細書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を追加的に作成する必要がある点を説明した。書類保存義務については、日本の場合は輸入者は5年、輸出者は4年となり、また日本への輸入時には、課税価格の総額が20万円以下の場合には原産品申告の提出を省略できるという。

EU向け輸出時には、EUの登録輸出者システムへの登録は不要

欧州委員会税制・関税同盟総局特恵原産地チーム・リーダーのアルバート・ヘンドリクス氏は、動画を使い、EUへの輸入時における日EU・EPA特恵関税を利用する際の手続きや、検認の流れ、営業上の秘密の扱いについて説明した。

EU側の運用として、6,000ユーロ以下の貨物の輸送の場合を除き、原産地に関する申告を作成するEUの輸出者は登録輸出者システム(REX)への登録が義務付けられる点、「日本からEUへの輸入時」の手続きとして、REXシステムへの登録は不要で、代わりに日本の国内法に従って法人番号の記載が求められる点、原産地の申告は原則としてインボイスその他の商業書類上に作成する必要があり、別紙で作成する場合には商業書類へのレファレンスがあることが有効な申告と見なされる条件となる点などを説明した。

写真 参加者の質問にブリュッセルから回答する欧州委員会ヘンドリクス氏(ジェトロ撮影)

参加者の質問にブリュッセルから回答する欧州委員会ヘンドリクス氏(ジェトロ撮影)

なお、講演内容の一部は、ジェトロウェブサイト上で映像を公開する予定だ。

(根津奈緒美)

(EU、日本)

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