財務相が2019/2020年度予算案発表、公的債務拡大の見通し

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2019年02月27日

南アフリカ共和国のティト・ムボウェニ財務相は2月20日、2019/2020年度(2019年4月~2020年3月)予算案を発表した。2018年の実質GDP成長率は、2018年10月に中期予算方針(2018年10月29日記事参照)で発表した0.7%のままとした。一方で、世界経済の成長の減速の影響を受けて、2019年は1.5%、2020年は1.7%と、前回発表した1.8%、2.1%から下方修正した。

2019/2020年度の歳入は1兆5,838億ランド(約12兆5,120億円、1ランド=約7.9円)、歳出は1兆8,266億ランドとなり、財政赤字のGDP比は4.5%と予測。公的債務(グロス)は2022/2023年度にはGDP比60.2%と、前回に発表された59.6%からさらに拡大する見通しとなり、財政状況の改善が進んでいないことが明らかになった。

財政赤字の解消に向けて、ムボウェニ財務相は歳入増のため、燃料税、たばこ税、酒税の増税策を発表した。2018年に増税された付加価値税(税率:15%)や個人所得税の最高税率は据え置いた。歳出削減に向けた取り組みとしては、公務員の早期退職優遇制度の推進、国会議員らの無昇給などを挙げた。

また、ムボウェニ財務相は、2月7日のシリル・ラマポーザ大統領による施政方針演説(2019年2月13日記事参照)で言及された、巨額負債を抱える電力公社エスコムの事業分離について発言。「南ア政府はエスコムの負債を肩代わりしないが、(発電、送電、配電の)3社への事業分離に向けて690億ランドの財源を確保している」と述べた。

(高橋史)

(南アフリカ共和国)

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