2018年の新車販売台数は21.4%増、中古車も高水準保つ

(ルーマニア)

ブカレスト発

2019年02月22日

自動車製造業者・輸入業者協会(APIA)によると、2018年の新車乗用車のルーマニア国内販売台数は前年比21.4%増の15万8,268台だった。生産台数は31.1%増の47万6,769台となり、過去10年間で最高の伸び率を示した(表1参照)。国内の完成車メーカー2社のうち、ダチアの生産台数は6.8%増の33万5,262台、フォード(米国)は14万1,507台で3倍になった。2018年に、ダチアが「ダスターII」、フォードも「エコスポーツ」と、ともに新型スポーツ用多目的車(SUV)の生産を開始したことが増加につながった。

表1 乗用車の生産、輸出入、販売台数の推移

新車乗用車の購入者の60%は法人だった。残りの40%が個人で、購入台数は前年比で44.4%増加した。

新車乗用車の販売シェアをブランド別にみると、首位はルノー(フランス)傘下の国産車ダチアで、フォルスワーゲン(VW)、VW傘下のシュコダ(チェコ)、ルノー、フォードと続く(表2参照)。

表2 2018年の主要ブランド別新車乗用車販売台数

モデル別でみると、ダチアが「ロガン」を筆頭に、「ダスター」「サンデロ」と上位3位を独占し、シュコダ「オクタビア」、ルノー「クリオ」と続いた。

日系メーカーは、スバルとレクサスを除き、販売台数を大きく伸ばした(表3参照)。

表3 日本車(乗用車)販売台数の推移

電気自動車(BEV)、ハイブリッド(HEV)、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)の新車販売台数は全体の2.9%程度にとどまったものの、2年連続で伸びた。APIAによると、2018年のBEVおよびPHEVの販売台数は前年比2倍の987台となった。HEVは59.8%増の3,585台だった。増加の一因として、車齢8年以上の古い自動車の買い替えに際して、新車購入の割引クーポンを支給する「ラブラ・プラス」の効果が挙げられる。廃棄プレミアムの6,500レイ(約16万9,000円、レウ、レイはレウの複数形、1レウ=約26円)に加え、新車の二酸化炭素排出量に応じて、HEVの個人購入の場合は、さらに1,700レイの補助金が支給される。また、購入可能なHEVの車種が多様化したことも、増加を後押しした。

一方、APIAは、首都ブカレストの汚染レベルや渋滞を軽減させるため、汚染車税および混雑税の導入と、それらの税収入を基にした「クリーン・エア・ファンド」の設立を提案した。両税の提案内容は、EUの一定の基準値を超える一酸化炭素(CO)などを排出する車に対して課税するもので、汚染車税はブカレストに登録されている自動車が、混雑税はブカレスト以外で登録されブカレスト市内を走行する自動車が、それぞれ対象となる。

中古車の2018年の登録台数は、内務省運転免許自動車登録所によると、前年比9%減少した。ただし、環境への負荷に応じて課された「環境スタンプ税」が2017年に廃止されたことで、2016年以前に比べると高い水準を維持している(表4参照)。

表4 中古車登録台数の推移

(ミンドル・ユニアナ)

(ルーマニア)

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