「中国における日本企業の営業秘密の司法保護対策」セミナーを開催

(中国)

上海発

2019年02月06日

ジェトロは1月17日、上海華東政法大学との共催で、「中国における日本企業の営業秘密の司法保護対策」をテーマにセミナーを開催した。上海市知的財産権法院、人民検察院、公安局、市場監督管理局、上海華東政法大学知識産権学院の専門家が、従業員が不当に持ち出した技術情報を取り戻す方法や、従業員の管理方法、営業秘密の侵害事例、損害賠償金額の算定基準などについて解説した。

上海市知的財産権法院の何渊氏高級審判長は、実際に企業秘密の漏出が発覚した際には、民事訴訟での解決が効果的だと語った。2015年から2018年の営業秘密漏出に関する案件をみると、行政、刑事訴訟の手続きは比較的簡単に取れるものの、原告側が有利になるわけではない。民事訴訟では、損害賠償が認められることが多く、証拠の評価が比較的安定している。ただ、訴訟が必要な事態にならないことが望ましいので、企業秘密の管理には万全の注意が必要だと強調した。

上海華東政法大学知識産権学院の黄武双院長は、従業員が退職、転職、独立する際に、従業員との間で秘密保持契約を締結することが不可欠だと述べた。また、従業員の営業秘密に対する意識を高めるために社内研修を行うほか、職務中に機密情報へのアクセスを制限し、コンピュータネットワークでセキュリティー運用を高める必要があると強調した。

参加者からは、「審判長の解説を聞ける貴重な機会だった」「最近の摘発事例のトレンドや具体的な保護措置に関する話を聞けてよかった」「行政、法院、検査、公安による説明が勉強になった」などのコメントがあった。ジェトロでは、今後も日系企業のニーズが高いテーマでセミナーを開催していく予定。

写真 セミナーの様子(ジェトロ撮影)

セミナーの様子(ジェトロ撮影)

写真 質問応答の様子(ジェトロ撮影)

質問応答の様子(ジェトロ撮影)

(王志燕、陳貝蓓)

(中国)

ビジネス短信 7b776a789554a443