日EU・EPAによる食品輸出の拡大に期待するハンガリー

(ハンガリー)

ブダペスト発

2019年02月12日

ハンガリーでは、日EU経済連携協定(EPA)が発効した2月1日、主要な新聞が関連の記事を掲載した。ただ、内容は「日EU間の関税が97%撤廃され、両者間で年間約360億ユーロの経済成長が見込まれる」といったものにとどまっている。

同EPA発効について、ハンガリー商工会議所のマリア・シュターク国際部部長から次のコメントを得た。

「ハンガリーから日本への輸出は、機械および輸送機器関連製品が大部分(60~70%)を占めている(表参照)。一方で、主に食料品を扱うハンガリー中小企業の役割も重要だ。ハンガリーの高級食材は日本で非常に人気が高いため、食品加工業界はさらなる日本への輸出拡大を見込んでいる」

表 ハンガリーから日本への輸出実績

ハンガリーから日本へ輸出している主な食料品は次のとおり。

  • 食肉、食肉製品(マンガリッツァ豚製品、豚肉、フォアグラ)(注)
  • ワイン
  • 野菜、果物(特にスイートコーンとラズベリー)
  • 蜂蜜(2017年にはハンガリーの蜂蜜総輸出量の5%を日本に輸出。アジアでは1位)

ハンガリー中央統計局も、「アジア市場の中でハンガリー食品業界の最大のターゲットは日本のため、ハンガリーでは、今回の日EU・EPA発効を機に日本への食料品の輸出拡大を期待する」という。

商工会議所はまた、食料品だけでなく、他の産業、特に医薬品、医療機器の分野でも、前向きな変化が期待できるとしている。過去数年間でハンガリーからの化学製品(特に医薬品)の対日輸出は軒並み増加しており(図参照)、今回の大幅な関税引き下げがさらなる対日輸出拡大につながる可能性を見込んでいる。

図 日本への化学製品の輸出金額と割合

商工会議所は最後に、日本製品もハンガリーの消費者にとって安価になり、購入しやすくなると、利点を紹介した。

(注)マンガリッツァ豚はハンガリー在来の希少な品種で、2004年にハンガリーの国宝に登録されている。2018年現在、ハンガリー国内でアフリカ豚コレラが確認され、日本への生鮮豚肉の輸出は一時的に禁止措置が取られている。

(バラジ・ラウラ、河原徳恵)

(ハンガリー)

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