2018年度日本企業の海外展開調査、中国へのビジネス拡大意欲が増加

(世界、日本)

国際経済課

2019年03月07日

ジェトロは3月7日、「2018年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」(注1)の結果概要を発表した。調査は2018年11月から2019年1月にかけて、日本企業1万4社を対象に実施し、3,385社から回答を得た(うち中小企業2,770社、有効回答率33.8%)。

対中ビジネス意欲が2011年以降で初めて拡大

本調査で、今後(3年程度)の輸出方針について聞いたところ、「輸出の拡大を図る」企業が81.2%に達した(注2)。それら企業の28.1%が、今後最も重視する輸出先は「中国」と回答、同割合は前回調査時から大きく上昇した(図1参照)。

図1 今後の輸出ターゲット国・地域の中で最も重視する輸出先(時系列)

今後(3年程度)の海外進出方針については「海外進出の拡大を図る」企業が57.1%と前年(57.1%)から横ばいとなった(注3)。事業拡大を図る国・地域については、中国の比率が55.4%と前年(49.4%)より上昇した(図2参照)。中国の比率が上昇したのは、データの取れる2011年以降で初めてとなった。また、前年に比率の低下がみられた米国は、製造業を中心に拡大意欲が上向き、32.3%と前年(29.0%)から上昇した。

図2 海外で事業拡大を図る国・地域

24%の企業が今後、保護貿易主義による負の影響を予想

2017年以降の保護主義的な動きが、自社ビジネスに与えた影響について聞いたところ、43.1%の企業が調査時点では「影響はない」と回答した(図3参照)。「全体としてマイナスの影響」と回答した割合は、調査時点で15.2%だが、今後(2~3年程度)については24.4%に拡大する。

図3 保護貿易主義の影響(調査時点と今後2~3年程度)

保護貿易主義への対応については、本調査の回答企業の24.0%が既に何らかの対応策を実施済み、38.7%が実施を今後検討、と回答した。このうち「全体としてマイナスの影響がある」と回答した企業では、何らかの対応策を取る企業の比率が56.7%(実施済み)、70.1%(今後検討)に上った。

そのほか、同アンケート調査では訪日外国人向けビジネスへの取り組み、イノベーションに向けた取り組み、自由貿易協定や外国人材、電子商取引の活用状況について聞いた。

(注1)本調査は、ジェトロ・メンバーズ企業(ジェトロの会員制度に加入している企業)を対象に2002年度から開始し、今回で17回目。2011年度からはジェトロのサービスを利用した企業へも対象を拡大。

(注2)「輸出の拡大を図る」企業の割合は、「さらに拡大を図る」企業(70.5%)と「新たに取り組みたい」企業(10.6%)を合わせた数値。

(注3)「海外進出の拡大を図る」企業の割合は、「さらに拡大を図る」企業(32.9%)と「新たに進出したい」企業(24.2%)を合わせた数値。

(柏瀬あすか)

(世界、日本)

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