アリペイ香港、3月からベイエリアで電子決済サービス開始

(香港、中国、マカオ)

香港発

2019年03月06日

電子商取引で中国最大手のアリババ集団傘下のアントフィナンシャルと、長江和記実業(CKハチソンホールディングス)の合弁会社であるアリペイ香港は2月26日、広東省、香港、マカオで構成される粤港澳大湾区(ベイエリア)において、3月から電子決済サービス「AlipayHK」を提供すると発表した。

2月18日に発表された「広東・香港・マカオベイエリア発展計画綱要」(2019年2月20日記事参照)において明記された「大湾区電子支付系統互連互通」(ベイエリアにおける電子決済システムの相互接続)が早速、実行されることになった。

中国大陸においては、既に電子決済(スマートフォン決済)が広く普及している。小さな個人商店や、野菜や肉、魚などの小売り向け市場でも、QRコードを読み取る端末が設置されており、現金での売買は少なくなっている。これまで、香港から大陸へ行く旅行客や出張者は、中国大陸内に銀行口座を持っていないため、中国大陸内で普及する「Alipay」(AlipayHKではなく大陸のAlipay)や「WeChatPay」といった電子決済システムを利用することができなかった。3月以降は、AlipayHKの利用者であれば、中国大陸内でもサービスの利用が可能となった。

香港地元紙「明報」も2月26日付で、アリペイ香港CEO(最高経営責任者)である陳婉真のコメントとして「クロスボーダー決済サービスのテストは終了段階にある。ユーザーは近日中に『Alipay』または『AlipayHK』の利用可能店舗において、『AlipayHK』を利用できるようになる」と報じている。

公共交通機関での利用も拡大へ

AlipayHKの利用可能店舗は2万5,000店に達し、2017年9月の香港進出以降、急速な拡大をみせている。2019年1月末からは香港ミニバスの一部において、AlipayHKでの運賃支払いが可能となり、2020年には香港地下鉄へのAlipayHK導入が予定されている。先のベイエリア計画綱要の発表と推進が、AlipayHKの香港内外における、さらなる普及の後押しになるとみられる。

(渕田裕介)

(香港、中国、マカオ)

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