専門家は「周到に準備された権力移譲」との見方、ビジネスの混乱みられず

(カザフスタン)

タシケント発

2019年03月22日

3月19日に発表されたナザルバエフ大統領の辞任について、独立系シンクタンクのカザフスタン・リスクス・アセスメント・グループ所長のドスィム・サトパエフ博士は「国家安全保障会議の議長と与党ヌルオタン党首という影響力の強いポジションを確保しつつ権力移譲を図ろうとする、周到に準備されたプロセス」との見方を示している(BBCロシア語版3月19日)。他方、大統領代行のトカエフ上院議長については、「強力なリーダーシップを発揮するとはいえず、大統領選挙までのつなぎの役割にすぎない」とも述べている(インターネットメディア「カピタル.kz」3月19日)。

発表から一夜明けた3月20日、在カザフスタン日系企業へのヒアリングによると、「街中やオフィスは至って平穏」「突然という印象はあるが、ナザルバエフ氏の権限は残るので政治が即、大きく変わることはない」という声が複数聞かれた。大統領代行のトカエフ上院議長については「後継者として有力候補。中国語に堪能で、カザフスタンの対中国戦略上、非常に重要な要素だ」との指摘があった。

通貨テンゲは辞任発表を受け、1ドル=378テンゲ(大手両替商のドル売りテンゲ買い窓口レート)から385テンゲまで段階的に切り下がったが、20日未明のカザフスタン国立銀行(中央銀行)の発表を受け、同日午前には380テンゲ台にまで戻した。日本製乗用車の輸入販売を行う日系企業関係者からは「今朝のレートを見る限り、テンゲの変動幅は許容範囲内」とのコメントが聞かれた。

(下社学)

(カザフスタン)

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