カシューナッツ生産量、2018年は過去最高を記録

(コートジボワール)

アビジャン発

2019年03月25日

世界最大のカシューナッツ生産量を誇るコートジボワールで2月20日、新シーズンの出荷が始まった。需給バランスを反映して、国際市況の値動きが不安定に推移する中、生産地での買い上げ保証価格(1キロ当たり)は、前年の500CFAフラン(約95円、1CFAフラン=約0.19円)から375CFAフランに引き下げられた。政府は、世界銀行の支援を得て、生産性の向上や品質の改善に取り組んでおり、2018年の生産量は前年比6.7%増の76万トンとなり、過去最高を更新した。2019年の生産も好調を維持する見通しだ。

2018年のカシューナッツの輸出量は、生産量増加を受け、66万4,000トン(数量ベース)と前年比5.0%増加した。一方で、同年下半期に価格が低下したことから、金額ベースでは6,389億CFAフランと1.3%減少した。主な輸出先は、未加工カシューナッツがベトナム、インド、ブラジルで、むき身カシューナッツが米国、オランダ、ベルギーだ。生産者の収入は、価格低迷の影響で、20%減の4,040億CFAフランとなった。

政府は、国内加工促進のため優遇政策を実施

カシューナッツは、コートジボワールの輸出額の9%を占める主要産品だ。生産者は全国で33万戸、加工・流通など関連部門を含めると、約300万人が同産業で生計を立てている。そのため、国際市況の動向は、同国経済に大きな影響を与えている。政府は価格変動に左右されない産業構造・経済システムの構築を目指し、現在10%の現地加工率を2035年までに100%にまで引き上げることに取り組む。現在、同国には28カ所の工場(うち24カ所が稼働中)があり、加工生産能力は18万1,000トンだ。

政府は、加工品の輸出に奨励制度を設け、脱殻と脱皮プロセスの加工品にそれぞれ1キロ当たり150CFAフラン、400CFAフランの奨励金を給付する。また、加工品は1キロ当たり30CFAフランの輸出・搬出税を免除するとともに、輸出業者に対し、輸出量の15%を国内加工業者へ譲渡することを義務付けた。さらに、主要生産地帯に工業団地を造り、入居者へ優遇措置を供与するほか、カシューナッツ生産加工技術センターを設立し、人材育成を図っていく。

(渡辺久美子)

(コートジボワール)

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