新EVモデル投入でシェア拡大狙う、GMがデトロイトでの大型投資を発表

(米国)

ニューヨーク発

2019年03月25日

米国自動車メーカーのゼネラルモーターズ(GM)は3月22日、デトロイト郊外のオリオン・タウンシップ工場で、新型の小型電気自動車(EV)の生産に向け、3億ドルを投資し、400人を新規雇用すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同工場は、GM唯一のEV「ボルト(BOLT)」と、小型乗用車「ソニック」の生産拠点で、将来は自動走行車「クルーズ」の製造も予定されている。

2018年の「ボルト」の年間販売台数は、前年比で22.7%減と伸び悩んでいる。販売台数では1万8,019台(モーターインテリジェンス調べ)と、EVで3モデルを販売するEV販売首位のテスラ(12万6,150台)の15%以下にとどまる。GMは既にキャデラックのEV化を発表しており、さらに今回、「ボルト」をさらに進化させた構造(architecture)を採用する新モデルを投入することで、EV市場でのシェア獲得に乗り出す。

背景には4工場の生産停止も

GMは2018年11月26日、EVを含む次世代車へのシフトを視野に入れた業務再構築のため、米国内4工場の事実上の生産停止と、大幅な人員削減を発表していた(2018年11月28日記事参照)。これに対し、雇用増を政策の柱に掲げるトランプ政権から、工場の第三者への売却を含めた、生産の再開による雇用確保が求められていたほか、全米自動車労働組合(UAW)からは、操業停止が2015年の労働協約に違反するとして提訴されていた(デトロイト・ニュース2月26日)。こうした中、今回の発表に際し、メアリー・バーラ会長兼最高経営責任者(CEO)は「GMは今後も成長の機会が見込まれる米国で投資を続けていく」と、米国での事業拡張を強調した。なお、UAWとの交渉に関してGMは、7月に始まる4年間の新労使協定での決着を見込んでいる。

2018年の全米新車販売におけるEV(プラグインハイブリッド車を含む)のシェアは約2%にとどまるが、前年比では1.8倍と大きく伸びた(インサイドEV調べ)。最近では、フォードが3月20日に、デトロイト郊外のフラットロック工場でのEV生産に向けて、2023年までに8億5,000万ドル超を投じると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(採用モデルなどの詳細は未発表)したほか、テスラが新型クロスオーバー・スポーツ用多目的車(SUV)「モデルY」の販売予約を開始、さらに既存メーカーが新興EVメーカーへの出資を行うなど、EVの開発生産に向けた各社の取り組みは活発になってきている。

(大原典子)

(米国)

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