2018年第4四半期の実質GDP成長率は前期比0.2%に減速

(オーストラリア)

シドニー発

2019年03月19日

オーストラリア統計局(ABS)は3月6日、2018年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率を前期比0.2%、前年同期比2.3%と発表した(添付資料参照)。景気後退(2四半期連続のマイナス成長)がない期間の世界最長記録を110四半期に更新した。通年でみると、2018年の実質GDP成長率は2.8%と前年(2.4%)よりも高かった。しかし、第4四半期は、前期比0.3%だった第3四半期(2018年7~9月)よりもさらに減速し、2018年は4四半期連続で前期比、前年同期比ともに鈍化した。

需要項目別の実質GDPをみると、民間住宅は前期比3.4%減、公的資本形成は0.3%増となり、国内総固定資本形成は前期比で1.0%減となった。財貨・サービスの輸出は同0.7%減となったものの、政府最終消費支出(同1.8%増)、民間最終消費支出(同0.4%増)が寄与し、全体ではプラス成長を達成した。

オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)のフィリップ・ロウ総裁は3月5日、金融政策決定会合の声明の中で、「依然として豪州の雇用は堅調。雇用が大きく増えるため、失業率は今後数年間で4.75%まで低下する見通し」とした。「他の指標は、オーストラリア経済が2018年後半に減速したことを示している」としつつ、「2019年は、家計所得の伸び悩みに伴う個人消費への影響や、住宅価格の下落など不安要素はあるものの、設備投資増や公共インフラ支出増、雇用増に支えられ、3%程度で成長するだろう。家計所得が好転し、個人消費を下支えすることが期待される」との見通しを示した。

RBAは2月、住宅価格の下落を主因として、2019年の実質GDP成長率の予想を3.25%から2.75%に下方修正していた。また、人口増の影響を除いた1人当たりGDPでみると、2四半期連続のマイナス成長になっており、経済の減速傾向について過度に楽観視すべきでないという見方もある。

(小柳智美)

(オーストラリア)

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