2019年度予算案、輸出環境改善に向けた予算配分に

(スリランカ)

コロンボ発

2019年03月18日

スリランカ財務省は3月5日、2019年度(1~12月)予算案(財政法案)を発表した。2019年度案では、財政収支目標をGDP比で4.5%の赤字とし、2018年度の実績値(5.3%の赤字)から縮小させる見込みだ。今後、約1カ月の国会審議を経て、4月5日に承認される予定。2018年10月末に起きた首相交代劇(2018年10月29日記事参照)により、当初予定(11月中旬)から4カ月ほど発表が遅れた。

予算案では、2018年7月に公表された国家輸出戦略(2018年8月7日記事参照)の実現に向けて、2億5,000万ルピー(約1億5,750万円、1ルピー=約0.63円)が配分された。サマラウィーラ財務・マスメディア相は発表の同日、「持続的経済成長と貿易赤字の縮小に向けて輸出と対内直接投資(FDI)の増大に焦点を当てた予算配分だ」と説明した。今回の予算案は、輸出環境改善に向けた一歩となる。

加えて同相は、2018年5月に発効したシンガポールとの自由貿易協定(FTA)に続き、中国とタイとの新規FTA締結や、インドと締結しているFTAの包括化などに向けた協議を加速する意向を表明した。他方で、地方部における公共トイレの整備や新婚夫婦向けの低利子住宅ローン制度の提供など、2019年内に行われる大統領選挙を意識したばらまき的要素の強い予算配分も行われた。スリランカの主要経済紙「Daily FT」は、予算案発表後に行った世論調査の結果を3月7日に報じた。それによると、「国民の6割が2019年度予算案を支持する意向を示しており、一定の評価を得ている」という。

なお、予算案の詳細は、財務省ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認できる。

(井上元太、ワーサラゲー・ラクナー)

(スリランカ)

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