南・ウラル・東シベリアでEC利用が活発化、中国企業も積極的に参入

(ロシア、中国)

欧州ロシアCIS課

2019年03月11日

ロシアの消費者向け電子商取引(EC)サイト最大手のワイルドベリーズは3月4日、2018年の地方別売上高の上位10地域を発表した(表参照)。各メディアが報じた。

表 ワイルドベリーズの顧客による購入総額上位10位連邦構成体(中心都市名)

ワイルドベリーズのビチェスラフ・イワシチェンコ事業開発部長は、3位に南連邦管区のクラスノダール地方がランクインしたことについて、購買者の多さに加えて、自社の発注商品受け渡し網を整備したことが要因と分析している。このほか、ウラル連邦管区のハンティ・マンシ自治管区、ヤマロ・ネネツ自治管区、東シベリアのクラスノヤルスク地方、イルクーツク州などがランクインしている(注)。

同社によると、商品別では2018年に最も販売額が伸びたのは家電分野(前年比4.5倍)で、ノート型パソコン(37倍)、ゲーム機(14倍)、ポータブルスピーカー(7倍)、スマートフォン(7倍)、イヤホン(7倍)、美容機器(99%増)など。衣料品に関しては地域差なく黒・紺系のワンピースの販売が好調な一方、靴類ではモスクワやサンクトペテルブルクの大都市ではハイヒールが、地方都市ではスニーカーの売れ行きが好調だった。

ロシアのEC市場には、越境EC商品の9割を供給する中国(2019年3月6日記事参照)の企業も積極的に参入している。中国EC最大手アリババは自社が運営する「Tmall」をロシアで積極的に展開し、売り上げを伸ばしており、技術拠点と配送網の整備に既に25億ルーブル(約42億5,000万円、1ルーブル=約1.7円)以上を投資しているとされる。最近では、中国自動車組み立て大手の奇瑞汽車(ブランド名「チェリー」)の完成車と自動車部品をネット経由で販売すると報じられている(「コメルサント」紙3月5日)ほか、ロシア郵便と協力し、配送日数の削減やロシア極東向けの新しい配送ルートの開拓を進めていると伝えられている(インターネットメディア「プリマメディア・ル」3月9日)。

(注)ワイルドベリーズ販売網の強弱以外の理由として、ウラルの2地域については商業施設が限定される一方で、比較的給与水準の高い石油・天然ガス開発分野での就業者が多いこと、東シベリア地域は(西シベリアと異なり)ロシア欧州部を中心とした陸上物流網やブランド自体の販売網に完全に組み込まれていないことなどが想定される。

(高橋淳)

(ロシア、中国)

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