2019/2020年度の予算案、イノベーション・科学技術などを拡充

(香港)

香港発

2019年03月11日

香港政府は2月27日、2019/2020年度(2019年4月~2020年3月)の財政予算案を発表した。歳出は6,078億香港ドル(約8兆5,092億円、1香港ドル=約14円)で、前年度修正予算に比べ13%増となった。内訳をみると、市民の関心が高い教育、社会福祉、衛生(医療・保険)分野に、それぞれ1,240億香港ドル、972億香港ドル、886億香港ドル、合計3,098億香港ドルを計上し、全体の約51%を占めている。また、イノベーション・科学技術分野においても、ハード、ソフトの両面での支援を強化した予算案となっている。なお、歳入は5%増の6,261億香港ドルを見込んでいる。

イノベーション・科学技術分野の発展に注力

政府が重要視するイノベーションと科学技術の分野では、スタートアップやテクノロジー関連企業を支援するサイバーポート(数碼港)の第5期事業に55億香港ドルを充てる。オフィスなど6万6,000平方メートルを整備し、スタートアップの支援を強化する。同様に、企業の研究開発を支援する、サイエンステクノロジーパークの企業投資ファンドを2億香港ドルに拡大する。

また、大学の増築や改築、特に実験室など科学研究設備の整備のための予算として160億香港ドルを計上するとともに、大学教育資助委員会(Univeristy Grants Committee)傘下の研究資助局(Research Grants Council)の管理するファンドへ200億香港ドルを投資し、研究関連経費を提供する。

そのほか、大学発スタートアップ支援に向けて、これまで毎年400万香港ドルとしていた補助金の上限を、2倍の800万香港ドルに拡大する。

企業支援を強化

企業支援に関しては、2019/2020年度は商業登記費用が免除となる。また、中小企業用の科学技術導入に向けた補助金である「科技券計画」を恒常化し、これまでの補助上限を20万香港ドルから40万香港ドルへ倍増する。企業のブランディング、設備などアップグレード、および中国大陸での販路拡大のために設立されたファンド(BUDファンド)について、10億香港ドルを投入して支援対象地域を拡大するほか、金額の上限も引き上げる。

人材採用に関する部分では、学士の学位を持つ研究者については毎月の補助額を1万6,000香港ドルから1万8,000香港ドルへ、修士の研究者については1万9,000香港ドルから2万1,000香港ドルへ引き上げる。また、ポストドクター向けファンド(月額最高3万2,000香港ドル補助)の対象補助期間を2年から3年へ延長する。

本予算案に関する情報は、香港政府特設ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで閲覧が可能。

(渕田裕介)

(香港)

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