ブレグジットを前にユーロスターの運行が混乱

(英国、フランス)

ロンドン発

2019年03月22日

ロンドンとパリ、ブリュッセル、アムステルダムを結ぶ国際高速鉄道ユーロスターのロンドン~パリ往復便で、遅延と運休が多発している。主因は、英国の合意なきEU離脱(ノー・ディール)後に乗客の荷物検査の導入など業務負担増を見越して、フランス税関職員がドーバー海峡沿いの港を中心に、3月4日から始めたストライキがパリ北駅にも広がっていることだ(2019年3月22日記事参照)。

パリ発ロンドン行き乗客の荷物検査に時間がかかり、日によって状況は異なるとみられるが、ユーロスターの発車は定刻の3~5時間遅れとなり、乗客は通関のために3~5時間並ぶこととなる。ユーロスターは自社ウェブサイトに、「フランス税関職員のストのため、パリ北駅での遅延が多発しており、長時間待たせる状況となっている。3月末までの期間、必要がなければ利用を避けるよう強く勧める」と掲載している。

遅延に伴い、1日数便が運休しているが、それとは別に、ユーロスターは2月中旬から運行上の理由で1日往復数便を臨時運休している。2月12日から3月31日の間に臨時運休が決定したのは、パリ発ロンドン行きが約80便、ロンドン発パリ行きが約60便。予約客には代替チケットが案内されるが、希望の時間帯は満席、あるいは100ポンド(約1万4,500円、1ポンド=約145円)以上の変更料金が必要となることが多い。スケジュールの大幅な変更を余儀なくされることもあるため、注意を要する。キャンセルされやすい便には片寄りがあり、運休が多い順に、パリ発ロンドン行きでは19時07分発(18回)、8時37分発(13回)、18時34分発(7回)、19時06分発(7回)、12時07分発(5回)、18時43分発(4回)、21時03分発(4回)。ロンドン発パリ行きでは9時22分発(23回)、7時31分発(12回)、18時17分発(8回)、19時01分発(6回)、17時01分発(5回)(3月21日時点、ユーロスターのウェブサイトを基に算出)。

写真 パリ北駅で通関を待つ乗客の列(ジェトロ撮影)

パリ北駅で通関を待つ乗客の列(ジェトロ撮影)

(岩井晴美)

(英国、フランス)

ビジネス短信 b91121a96cc258d7