日本食が現地系チェーンを中心にキエフで普及

(ウクライナ)

ワルシャワ発

2019年03月25日

人口295万人を擁するウクライナの首都キエフでは、現地系チェーン店を中心に、日本食が定着しつつある。レストランをはじめとするサービス紹介まとめサイトのズーン(Zoon)によると、キエフ(郊外を含む)には、474店の日本食チェーンが存在する。

現地系の日本食チェーンとして代表的なのは、「エウラジヤ(ユーラシア)」「スシヤ」「村神」の3チェーンだ(添付資料参照)。3チェーンに共通するのは以下の3点。1点目は、すしロールにとどまらず、握りずし、刺身、天ぷら、焼き鳥、ギョーザ、ラーメンなどの幅広い日本食メニューをそろえつつ、メニューの一部に他のアジア料理を含むこと。2点目は、全てのメニューがきれいな写真付きでメニューに載っていること。3点目は、メニューごとにグラム数が記載されていること(注)。2点目、3点目は料理を選ぶ際の見た目も重視し、健康志向であるというウクライナ人の特徴がそれぞれ表れている。また、3チェーンとも主な客層や価格帯はそれぞれ異なり、セグメントごとにすみ分けがされていると言えそうだ。

各チェーンで店員にヒアリングしたところ、人気メニューは巻きずしの「フィラデルフィアロール」と「ドラゴンロール」(人気のネタ:サーモン、アボカド、ウナギ)が挙がった。フィラデルフィアは、サーモンとフィラデルフィアチーズを使用した巻きずしだ。ドラゴンは中心部のネタの回りにのりを巻き、その次の層にシャリを入れ、そしてすしの上部や外周にサーモンやアボカドなどのカラフルなネタを使用したもので、ドラゴンがくねったような曲線に盛り付けされる場合もある。

写真 スシヤのドラゴンロール(左:ウナギ)とマフィアのドラゴンロール(右:アボカド)(ジェトロ撮影)

スシヤのドラゴンロール(左:ウナギ)とマフィアのドラゴンロール(右:アボカド)(ジェトロ撮影)

ウクライナの日本食市場のユニークな特徴として、レストランの人気ジャンルである日本食とイタリアンをメニューに半分ずつ取りそろえるレストランチェーンの存在が挙げられる。その1つである「マフィア」は、内装にシャンデリアを使うなど高級志向で、すしの味も日本食チェーンに劣らない。

(注)旧ソ連の流れを受け継ぎ、現在でもレストランのメニューには、一般的にグラム数が表示される。スシヤではカロリー数も記載されている。村神はウェブサイト上のみグラム数が表示されており、店舗のメニューには記載はない。

(深谷薫、ジュリア・ポヤタ)

(ウクライナ)

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