日系企業、インドやドバイからアフリカ市場を狙う

(インド)

ニューデリー発

2019年03月15日

日本企業の進出がいまだ限定的なアフリカ市場だが、インドやドバイなどに置いた拠点からアフリカ市場展開を狙う日本企業の動きが広がりつつある。ジェトロは2月24~27日の4日間、インドやアラブ首長国連邦、南アフリカ共和国などに進出する日系企業8社11人からなるミッションを組み、ケニア、エチオピアのインフラ視察や現地のインド系ビジネスコミュニティーとの交流の場などを設けた。

アフリカ市場は日本との地理的な遠さに加え、ビジネス開拓のネットワーク不足もあって、手を付けていない企業が多いが、近年、インドやドバイに進出する日系企業はこうした国・地域の企業が持つアフリカとのネットワークを有効活用し、例えばインドで製造した「日本ブランド」をアフリカ市場で展開していこうとする動きが見られる。インド企業との協業によるインフラビジネスの開拓などの先行事例も出始めており、政府レベルでも2016年11月の日インド共同声明以降、アフリカ協力の深化が柱に位置付けられている。8月28~30日には横浜で第7回アフリカ開発会議(TICAD7)が開催される予定だ。こうした時機を捉えて、今回のミッションが企画実行された。

ケニアやエチオピアの市場やビジネス環境の視察というミッションの目的に沿い、日本企業が関わるインフラ施設や地場商業施設・企業の訪問、関連省庁による説明会、現地インド系ビジネスコミュニティーとの交流会が行われた。

写真 ケニア・ナイロビでインド系ビジネスコミュニティーと交流するミッション団(ジェトロ撮影)

ケニア・ナイロビでインド系ビジネスコミュニティーと交流するミッション団(ジェトロ撮影)

ミッション参加でアフリカでのビジネスの可能性を実感

ケニアのインド系住民は現在8万人程度とされるが、ビジネス界では大きな存在感を発揮している。ミッション団は、インド系ケニア人の非営利コミュニティーであるアジア財団(Asian Foundation)のメンバーを中心に、食品・日用品、タイヤ、ホテル、保険業などの主要ビジネスマン約10人と面談し意見交換した。エチオピアにおけるインド人、インド系住民も多く、登録上で約5,000人、実際には約1万2,000人と言われている。ミッション団はエチオピアでも、インドビジネスフォーラム(商工会に相当)のメンバーと交流した。日本企業の発想や製品をもとにしたニュービジネスの展開や、医療、教育といった面でのビジネスの関心が示された。

ミッション参加を通じて、アフリカでの市場開拓の可能性を感じた企業が多かったようだ。インドから参加した日系企業の担当者は「市場開拓への関心はあるが、これまで訪問する機会がなかった。両国のさまざまな側面を視察することができて良かった。課題は散見されるが、アフリカでの事業展開を視野に入れ、中長期で取り組むための調査を継続したい」と話していた。

(古屋礼子)

(インド)

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