成都市、ユニコーン島に入居する企業に向けた支援策を発表

(中国)

成都発

2019年03月26日

成都市人民政府は2月25日、「四川天府新区成都管理委員会によるユニコーン島に入居する新経済企業を支持するための若干政策」(以下、島十条)を発表した。島十条は、同市における新経済産業(デジタル、スマート、エコ、クリエーティブ、シェアリングなどの分野におけるハイテク産業)の発展を推進し、ユニコーン企業(設立10年以内、企業価値10億ドルの非上場企業)の誘致・育成を支援するものだ。2019年3月25日に施行され、施行期間は3年間。

成都市政府は、経済成長が安定成長を遂げる中、新経済産業を経済発展の新たな原動力の1つとして期待し、新経済産業の発展の牽引役とされるユニコーン企業の誘致・育成に取り組んでいる。成都市では、市南部の郊外にある国家レベル経済産業園区の天府新区内に、ユニコーン企業のインキュベーションセンター兼集積地となるユニコーン島の建設を計画し、そのプロジェクトは2018年8月に着工され、2019年末にその第1期工事が完了、2022年には全面竣工(しゅんこう)する予定だという。

島十条は、3年以内に、スーパーユニコーン企業1社(企業価値100億ドルの非上場企業)、ユニコーン企業3社の誘致・育成を目指す。

島十条では、企業の集積、研究開発、市場開拓、金融ネットワークの連動、人材誘致、知的財産権の保護・応用、産学研連携、企業成長、持続可能な発展、行政の利便性向上に対する10の支援策を発表した。入居企業を対象に100億元(約1,600億円、1元=約16円)の投資基金が設けられ、オフィスの借り上げ・購入、研究開発とその成果物の実用化、人材誘致などの面において、20万~3,000万元の各種奨励金や手当を設けた。例えば、ユニコーン島に入居したユニコーン企業に対し、一括で200万元の奨励金を与えること、研究開発の年間費用が500万元以上の企業に対し、費用総額の20%の手当を与えること、年間売上高が初めて2,000万元を突破した企業に対して50万元、5,000万元を突破した企業に対して100万元を与えるなどの支援策がある。

また、スマートシティの建設も進められており、入居企業が開発したハイテクサービスを政府が購入し、各政府関連部門で応用する予定だ。資金面の支援にとどまらず、市場運用の面においてもサポートする方針がみられる。

なお、中国の顔認証AI(人工知能)技術のユニコーン企業「成都商湯科技」(Sensetime)、「雲従科技」および金融業の「前海金融」が、ユニコーン島への進出第1弾として進出が決定している。

(郭穎)

(中国)

ビジネス短信 f639ad44d554f44a