ロシア政府、連邦政府省庁の移転検討を本格化

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2019年03月25日

ドミトリー・メドベージェフ首相は3月20日、ロシア財務省、経済発展省など関係省庁部局に対し、現在モスクワ中心部の大統領府(クレムリン)の周辺に点在する政府各省庁の機能を、モスクワ市の国際ビジネスセンター「モスクワ・シティー」に移転させる検討を命じる指示を出した。2019年12月までに、具体的な移転案を作成する。

今回採択されたのは、「国家運営費用の最適化に関する会合総括について」の決定ならびに指示で、2019年3月14日に開催されたワーキンググループの議論を受けたもの。財務省など関係省庁に対し、2019年12月1日までに政府組織の移転ならびに、その機能の集約化に係る支出などを定める政府法令案の提出を指示したほか、a.各省庁の移転に際し個別の計画ではなく総合的な移転計画とすること、b.移転の結果で発生する政府庁舎の空きスペースに商業資本を呼び込み移転費用の補填(ほてん)とすること、c. 政府機関移転のためモスクワ・シティー内で政府資産の形成を図ること、d.モスクワ市中心部発展構想なども考慮して政府機関が現在入居中の不動産の再開発などを行うこと、などを併せて指示している。

モスクワ・シティーは、モスクワ中心部の展示場エキスポセンターに隣接し、商業モールや超高層ビルも含めた約17の建築群で構成されている。金融分野の企業を中心に日系企業も複数入居しており、ロシア極東発展省など一部政府機関も既に同所にオフィスを構えている。

ロシアでは過去、モスクワ中心部の渋滞緩和や行政機能の効率化などを目的に、モスクワ市郊外への政府機能の移転などが検討されたことがあったが、いずれも実現していない。今回は、モスクワ市中心部での政府機関の移転・集約となる。

写真 モスクワ・シティーの高層ビル群(ジェトロ撮影)

モスクワ・シティーの高層ビル群(ジェトロ撮影)

(高橋淳)

(ロシア)

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